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お題【群雲】
夕闇の中、パンッパンッと拍手が高らかに響くと辺りに鳴き声だけの犬が次々と湧き、空に向かって吠えたてた。すると夜の帳のおもてがわさわさ毛羽立ち、ころころと丸まりながら剥がれはじめる。その毛玉たちは月の光に洗われて白く輝き、そのうち綿毛のようにふわりと夜から離れ飛び立った。こうして空に現れた無数の白いふわふわはめいめい寄り集まりながら次第に天蓋を覆い群雲と化してゆく。
だがその直後、群れの端の小さな雲がいくつか風船のように弾けて消えた。それを合図とばかり、ひしめきあっていた雲はみるみる数を減らし、時を同じくしてその空の下、眠れぬ夜を過ごしてきた人々の脳裏には無数のひつじ達が現れ走り出す。
わずかに空に残った群雲が、やがて迎える夜明け一番の朝日を浴びて金色に輝く様を、久々に熟睡した町の静けさだけがそっと見ていた。




