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お題【赤いサファイア】

 月の光にかざした王冠の影に大きな赤……赤いサファイアの誇らしげな輝き。

「準備ができました」

 私が合図をすると王と王妃とが駆け寄ってきて王冠を大事そうに受け取る。そして二人は王冠から手を離さぬよう注意しながらベッドに横たわる姫のもとへと行き、弱々しく微笑む姫の頭にそっと乗せた。直後、姫の体を赤い光がほわんと包んで消える。

「成功です。私の魔法は受け入れられました」

 

 翌日の深夜過ぎ、私は王に呼ばれた。王は泣きながら笑っていた。

「魔法使い! お前のおかげで姫は呪いより守られた! 十六歳の誕生日当日に死ぬという呪いから!」

「恐れながら王よ、まだでございます」

「まだ、じゃと?」

「はい。今はルビー自身にサファイアだと信じ込ませ誕生月を七月から九月へと変え、呪いが発動する日をごまかして乗り越えただけなのです。言わば姫はまだ十五歳……」

 十六年かけて洗脳したルビーを残り二ヶ月で正気に戻すのは簡単ではないが、早速ルビールビールビーと叫び始めた王達の姿を見て彼らならできると確信した私は、ホッとしてなぜかビールが飲みたくなった。


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