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お題【熱くない】


「少し汗ばむくらいの陽気に包まれ、9月中旬並みの気温となるでしょう」

 天気予報の伝える通り11月って割には確かに暖かい。夜のニュースでは異常気象を特集していた。今月に入ってから「9月並」はもう既に十日以上だとか。

 一方、11月は真剣に悩んでいた。

「俺さ、11月でいる自信なくなったよ。だから9月になる」

「ちょ、ちょっと待てよ。窮屈だってば」

 9月の中に11月が強引に潜り込もうとしていると、お祭り好きな春から夏までの面々がこぞってニヤついた。

「お、楽しそうなことやってんじゃん。オレらも入れてくれよ」

 するとにわかにざわつく年始めの連中。

「ぼくら本当は夏に憧れていたんですっ」

 あっという間に1月から11月までが9月の中に入った。

「君は来ないのかい?」

「私は結構です」

 12月は静かに拒絶する。

「祭なんだからハジけようぜっ」

「放っておいてください」

 かくして翌年は66月が11ヶ月続き、迎えた暮れ。12月は大好物のトラピストクッキーを食べながら手紙を読み返す。

『おかげで息子の誕生日を無事に祝えました』

「歳暮……マリアか」

 その日はこの年一番の冷え込みとなった。


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