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お題【設計事務所】


「聞いてます?」

 七三分けの紳士が私の目を覗き込む。

「は、はい」

 えーと、ハンカチは赤で、朝の通勤で左から二番目の改札を通ることと、頭文字がSの店で珈琲を買うってところまでは覚えている。でもそこで通勤路でSなんてあったかななんて考えちゃって。

「もう一度説明しますよ。正午以降は幅2センチ以上の漫画雑誌をカバンに入れておくというところまでは大丈夫ですか?」

 幅2センチって単行本じゃダメだよね……ってそれ聞いてなかった。

「あの、本当にそれで」

「はい。開運には必要なんです。例えば人間の脳は記憶を行うと神経細胞感に電気が流れます。その電気が頻繁に流れるところは電気が流れやすくなって記憶が強くなる。運もこれと同じである種の行動を繰り返し行うことで呼び込みやすくなるんです。そしてあなたに必要な行動はこちらです。まずは一週間繰り返してくださいね」

 目の前に置かれた処方箋に目を通す。

「あの、午後三時から四時までノーパンってのもですか」

 紳士は力強く肯いた。時空運設計って名前の割には……まあ、先週行った言霊運設計よりかはマシだけど。一週間濁音禁止に比べたらノーパンくらい。


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