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お題【やわらかな鉱物】
カーボン製の電極で岩を軽く叩くと澄みきったいい音が返ってくる。これは期待できそうだ。
ハンドドリルで岩の表面に小さなくぼみを掘り、そこからメジャーで測ったもう一箇所にも小さく一穿ち。プラスとマイナスの電極棒をそれぞれの穴にセットした私が一服しようとすると、その合図を待ってましたとばかり娘が走ってきた。
「じゅんび、おしまい?」
「ああ。あとは夜を待つだけだ」
嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる娘を遠ざけ電極棒がつながった機械のスイッチを入れると、みぞおちが痒くなる音が静かに響く。呼吸が苦しくなるのは振動のせいなのか期待に打震えているせいなのかわからないまま、娘が痺れを切らす前に夜が来る。
「ね、ね、もういい?」
私が頭を撫でると娘は弾けるように岩へと走って行き、その中央に顔をとぷんと埋めた。岩の表面はぬらぬらと揺れ、娘の頭を水面のように呑み込む。だがその直後、埋まっていた頭が岩の中からぷはっと飛び出した。
「すごぉい! おおきなとりさんがとんでるっ!」
娘はそれだけ叫ぶと再び岩の中へと頭を潜らせる。この分じゃ私の番は当分まわって来ないな……逸る気持ちを抑えつつ煙草に火を点けた。




