第19話 敗者の集い
真っ白な、何もない空間。この空間は去年に一度見たことがある。優勝直前に負けてしまった、あの屈辱。今年は大会2日目で……たったの2日目だ。こんなはずじゃなかった……。ルビーのように深い赤色の髪を揺らしながら、涙を堪えて控え室から出る。
◇
「やぁ~お疲れ様、美月」
緑と黄色の美しいオッドアイを持つ少女が笑顔で出迎える。
「……。苗、椎奈、佳子、ごめん……」
控え室を出たフリースペースで、それぞれが複雑な思いを抱えて過ごしている。
「なに謝ってるの?」
苗は壁にもたれながら美月を励ます。
「私は何も出来なかったよ、美月だけの責任じゃない」
佳子は膝を抱えながらソファーに座り、小さな声で答える。
「さてと~そんなことより、私達がなんで呼ばれたか分かる~?」
椎奈は得意げに話し始める。
「なに言ってんの?」
「私達がここにいる理由だよ~」
その言葉が落ちると同時に、廊下から桁違いの気配を4人は感じ取った。
「全員いるね……」
さっきまでヘラヘラしていた椎奈も、臆するように目の前の少女を見つめる。中世ヨーロッパの貴族の服に、悪魔の羽。水色の髪に金色の瞳。
「……また悪魔か」
美月の言葉が耳に入ると、不機嫌そうに少女が振り向いた。
「悪魔呼ばわり……まぁ、自己紹介した方がいいか。私は異能競技大会運営総括部、SATMD広報部長の『古獣種・魔族』リリスティア・フルミナス」
「「「「!!」」」」
空気が一変する。目の前にいる者が、まるで天変地異のような天災に見えた。
「古獣……」
「古獣種か…ちょっと冗談キツイかも……」
椎奈が苦笑いしながらリリスティアを見つめる。
「そんな……えっと、運営さんが何か用?」 美月はリリスティアを見つめて問う。本来、2日目で負けたチームの元に運営が来るはずがないのだ。
「着いてきたら分かる」
リリスティアはそう言い、背を向けて廊下の奥へ進んでいく。
◇
途中までは普通の廊下だったが、進むにつれて少しずつ異様な雰囲気が漂い始める。壁にはいくつもの配線が覆い尽くしている。
(寒い……) 気温が低下していくのを佳子が察する。 「入って」 大きな扉の前でリリスティアが立ち止まり、美月たちを中に促す。
そしてそこには――
「あれ? 4人だけ?」『人間』青葉春樹
「精鋭だ……他の奴らは当てにならなかったからな」『人間』赤月聖人
「え~もう少し多いと思ってたのに……」『獣人種 鯱』彼岸シルヱ
「シルヱ、シャキッとしなさい」『古獣人 竜』白銀冬樹
「いや、冬樹さんもさっきまで寝てたでしょ?」『人間』山崎恵太
そして――
「よく来たな諸君!! 吾輩は異能競技大会運営総括部、SATMD総帥のテルシミノ・テルナミヤ・フルシアだ!!」




