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第10話 奇襲

「星羅~、朝だよ~」


いつも通りの朝を迎えているはず……だったのだが、今は状況が違う。 目の前でゆらゆらと揺れるピンク色の髪。


「起~き~ろっ!!」


室内に元気な声が響いた瞬間、お腹にずっしりとした重みがのしかかった。 星羅がようやく重い目を開けると、寝転がっている自分のお腹の上に座り込んだ明日香が、ぷくっと頬を膨らませてこちらを睨みつけていた。


「……おはよう」


非戦闘エリアの安全地帯で迎えた、大会二日目の朝だった。



「で……先輩。今日はどうするつもりですか?」

身支度と着替えを素早く済ませ、洗面所から出てきた星羅が尋ねる。


「とりあえずは街に出て敵を見つけて倒す。最終日の混戦になる前に、できる限り他チームの人数を減らしておきたいからね」


美琴がそう答え、ホテルの窓から廃都市の静まり返った街並みを見下ろした。


「けど、参加人数も多いですし、戦闘中に別のチームから漁夫の利を狙われたりしたら……」


明日香が不安そうに言いかけると、隣にいた皐月が黙って自分の端末スマホ画面を見せてきた。


「昨日だけで400人……およそ100チームほど脱落してるよ」


画面には、大会運営からリアルタイムで更新される


「現在の個人・チーム順位表」が表示されていた。


「明日香の5点と、美琴先輩の20点……他はどれくらいなんですか?」


星羅が覗き込むと、

皐月は「見る~?」と端末を手渡した。 上位の数チームを除けば、大半のポイント差はまだ僅差だ。

だが、星羅の目が特定の欄でピタリと止まった。桁違いの数字を叩き出している名前がある。


『2位 伊藤瓢華  獣人種(獅子) 【400点】』


「やっぱり……先輩たちが警戒していた……」


明日香も横から顔を近づけ、画面を凝視する。


「あれ? でも……これが2位ってことは、じゃあ1位は……」


違和感に気づいた明日香が、指先で画面を一番上へとスワイプした。


『1位 星空銀河(ほしぞら ぎんが)  古幻種(天人) 【1000点】』


「……せ、千点……!? たった一日で、一人で40チーム分……!?」


明日香は引きつった声を上げ、言葉の意味を理解できずに画面と二人を交互に見つめた。


「こ……『古幻種(こげんしゅ)』? 先輩、これって……」


明日香が振り返ると、いつも余裕を崩さない皐月と美琴の二人が、一瞬だけ苦々しそうに顔をしかめ、重い息を吐き捨てた。


「ま……二人とも見たことないもんね、古幻種を」


美琴がそう呟き、深く呼吸を整える。



「古幻種は……簡単に説明するなら『天災』だよ」



皐月の声には、いつものフワフワした軽さが完全に消えていた。 あの規格外な『幻獣種』である二人がここまで動揺を見せる存在。それが何を意味するのか――部屋の空気が一瞬で氷のように冷たく、重くなる。明日香は半泣きになりながら、助けを求めるように星羅の方を見つめた。

重苦しい沈黙の中、星羅は静かにハルバードの柄を握り直し、まっすぐに美琴たちを見つめた。


「安心してください。先輩方が勝てないなら、私が倒しますから」


その淡々とした、けれど揺るぎない言葉を聞き、美琴の目が丸くなった。 直後、美琴はパッと破顔する

と、勢いよく立ち上がって星羅の頭を乱雑に撫で回した。


「ハッ、お前な~! なーに生意気なこと言ってんだ! 誰も勝てないなんて一言も言ってねぇだろーが!」


「痛っ……先輩、髪が乱れます……」


重苦しかった雰囲気が一気に吹き飛び、美琴はニッと不敵に笑ってドアへと向かう。


「よし、じゃあ行くぞ! 街の敵を狩り尽くす!!」



「結構弱いですね」


明日香が端末スマホを確認し、加算された点数を画面に表示させる。現在のチームポイントは皐月が15、美琴が20、明日香が10、星羅が5の計50ポイントだ。


「まぁ、私たちが強いからって理由もあるけど」


星羅は珍しく軽口を叩きながら明日香の近くへ寄る。上空では皐月と美琴が浮遊し、周囲の警戒に当たっていた。初戦から順調すぎるほどのスタートを切り、どこかで油断があったのかもしれない。 ――ここが、全国から猛者が集う国体であるということに。



ガアアンッ――――!!



突如、空中で雷が落ちたかのような絶大な衝撃音が響き渡った。


「皐月っ!?」


何者かの強烈な一撃を受け、弾丸のような速度で吹き飛ばされる皐月。すぐさま救出に向かおうとした美琴だったが――


「《炎陣・紅蓮華(えんじん・ぐれんげ)》っ!!」


下空から巻き上がった激しい火柱の直撃を受け、美琴もそのままビルの壁面へと激しく叩きつけられた。


「「先輩っ!?」」


あまりの急展開に、星羅と明日香が遅れてハルバードと札を構える。だが――

「慌てない、慌てない。君たちの相手は私たちだよ」


背後から、悠々とした足取りで歩み寄ってくる人影があった。緑と黄色の美しいオッドアイを持つ少女だ。


「私は私立白百合の丘学園の海鳩椎奈(うみばとしいな)。で、こっちが林佳子(はやしかこ)

椎奈の後ろから、ひょっこりと顔を出したのは小柄な白髪の少女――佳子だった。


(……残りのメンバーは先輩たちの方へ向かったのか。だけど、あの先輩たちの不意を突くなんて……実力は昨日戦った奴らとは比べ物にならない――!)


星羅が必死に頭の中で状況を整理しようとした、まさにその一瞬。


「ぐっ……!?」


間合いを一瞬で詰められ、佳子がすでに星羅の懐へと潜り込んでいた。速い。


「《業火の刃(ごうかのやいば)》」


佳子は「こいつは私の獲物」と言わんばかりに炎を纏わせた刀を振り下ろし、星羅との戦闘を開始した。


「じゃあ、私は君だね」


椎奈が呟くと同時に、その手には異様な威圧感を放つ一本の刀が握られていた。 それを見た明日香の顔が強張る。

「…………『祭具』!?」

《キャラクター設定》

名前:片橋 美琴

出身・所属:県立緑ヶ丘高校 

年齢:2年3組 17歳。

身体的特徴:身長154cm Bカップ 悪魔の尻尾

種族: 幻獣種(悪魔)

戦闘スタイル: 近接格闘&圧倒的破壊力(素手、肉弾戦、極大魔導)

奇跡: 《悪魔の鎮魂歌》

主な技: 『《魔物の行進》』など

性格・特徴:

豪快で戦闘大好き。細かい調整や手加減が苦手で、普段は技を使わず素手で殴る方が安全なほど。

煽りや軽視(「コウモリ」扱いなど)には容赦なくキレるが、後輩思いで面倒見が良い。

存在そのものが純粋なエネルギー体であるため、術式なしで圧倒的な理力を放つことができる。


冬空 皐月

出身・所属:県立緑ヶ丘高校 

年齢:2年3組 17歳。

身体的特徴:身長153cm Aカップ 天使の羽とヘイロー

戦闘スタイル: 飛行、索敵、防御・受け流し、全体統制

奇跡: 詳細不明

背中の巨大な羽で自在に飛行し、相手の攻撃を片手で軽々と止めるほどの規格外なスペックを持つ。

性格・特徴:

一人称は「僕」。語尾に「~だね」「~だよ」をつける能天気でフワフワしたお兄さん・お姉さん的ポジション。

一見するとお調子者だが、戦闘の分析力や「奇跡」の本質を見抜く観察眼は極めて鋭い。

美琴の暴走を止められる数少ないストッパー。戦いたがりだが獲物を横取りされると拗ねるお茶目な一面もある。

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