↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/102

40.理不尽な上官命令2

 王都レグルス、〈星芒騎士団(スターナイツ)〉団長室。


「七番隊が要人警護の任務中に、サンダリアンのコロッセオで試合に出るだと?」


『だって、オルフェ隊長がそうしろって……』


「ふーん、皇子殿下とオルフェはなんて言ってたんだ?」


『殿下は……その、とても喜んでいらっしゃいまして……オルフェ隊長は……ナディア最強の冒険者の実力を測れるいい機会だと。それから、多少の恩も売れると言ってましたが……』


「ふーん。なら良いんじゃないか、別に」


『え!?良いんですか!?』


「殿下の護衛には、当然お前たちの代わりにギルドが精鋭を出してくれるんだろ?」


『あ、はい。コロッセオ内の警護体制を二倍にするほか、殿下の直接の警護は〈血塗られた聖者たち(ブラディセインツ)〉が直々につくとのことですが……』


「フハハハハハ!面白いじゃないか。俺もその試合、直接観たかったなあ」


「……クロード、悪党みたいな笑い方になってるぞ」


 団長がさも愉快そうに笑うその傍らで、長身の男が呆れた顔をした。

 副団長のギルバートだ。


 団長のクロードが話しかけている魔水晶の向こう側は、少女のような顔をした、新米隊長。


「ああ、すまんすまん」


 と、全く悪びれた様子もなく謝った後で、クロードは魔水晶に向き直り、


「いいだろう。団長として、オルフェの判断を追認する」


『え、そんな簡単にですか?』


 拍子抜け……というよりやや困惑したように、魔水晶越しのアリスが訊き返す。


「なんだお前、怒ってほしかったのか?」


『いえ、そんなわけありませんけど……『一緒に怒られてやる』とか言ってたクセに、オルフェ隊長は結局どっか行っちゃったし……』


「ちなみに出場は許可するが……アリス、お前分かってるんだろうな」


『へ?』


 思わず変な声を漏らして怪訝そうな表情を浮かべるアリスに、クロードはそれまでの笑みを消し、急に真顔になって続けた。


「コロッセオで冒険者にコテンパンにされたとあったら、天下の〈星芒騎士〉が大陸中に恥を晒すことになるんだからな」


『!?』


 水晶に映った少年の整った顔が見る間に青ざめていく。


 それをみて、心底可笑しそうに、クロードはククク、と笑った。

 ギルバートはただ溜め息をつく。


「もし負けたらお前に責任を取ってもらうからな。せいぜい気張るように。——それじゃな」


『え、ちょっ……』


 ——プツン。


 まだ何か言おうとしてたアリスの映像が消える。見る間に水晶が光を失っていく。


 クロードが魔水晶の魔力を解除し、一方的に通信を切断したのだ。


「……お前な。アリスが精神を病んだら、それこそお前が責任取れよ」


 ギルバートが咎めるような目で古い戦友を睨む。


「大丈夫だ。東方では、『可愛い子には旅をさせろ』って言うだろ。確か『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』と言うのもあったよな」


「……どちらも、悪党みたいに笑いながらやる親はいないと思うぞ」


 ギルバートはもう一度溜め息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。