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エイリークの任務報告書③

第二部のあらすじですので、読み飛ばしていただいても、本編には直接影響ないです!


ただ、流し読みでもしていただけると、何となく雰囲気が分かるかなと。

宜しければ、是非お読みいただけると嬉しいです。


 そしてその日の翌日。


 皇子も皇女も市内観光のスケジュールを全部キャンセルして、コロッセオで試合観戦。

 そしてその試合に出場するのは、皇女殿下の護衛の筈だった僕たち七番隊。


 殿下たちがいらっしゃるVIPルームには、ローエンデール勢の警護団幹部に加えてオルフェ隊長や〈血塗られた聖者たち(ブラディセインツ)〉の面々までが勢ぞろいしているわけだから、まあある意味、鉄壁の護衛とは言えるけど……


 しかし一体、僕たちは何やってんですかね……



 まあ、それはとりあえず、置いておいて。

 試合は全部で三戦でした。


 〈聖者たち〉のうち、ドワーフの大魔導ガンドルさんのゴーレムや、謎の美人召喚士モニカさんが用意した召喚獣が僕たちの対戦相手。


 一戦目はジルさんと僕のペア、二戦目はローズ先輩とリリィさんのペア。

 そして最終戦はアリス先輩の大将戦と決まりました。


 という訳で、以降はその試合結果報告です。



     Ψ


 ◆一戦目:副隊長ジル&エイリークVS雷の精霊獣&鉄巨人『アサルトマシーン十三号』


 初戦の相手は巨大な白いイタチのような姿の“雷獣”と、魔導人形と古代の自動機械を組み合わせたアイアンゴーレム。


 特にゴーレムは四メートルを超えるアイアンゴーレムってだけでもかなりの強敵なのに、片手は鉤爪がドリルのように高速回転するわ、もう片手には機関銃が仕込まれているわで、まあとにかく凶悪な性能。


 初っ端からとんでもない対戦相手で、僕は正直びびってたんですが、ジルさんの大楯(ラージシールド)を《光剣化》するという、騎士団でも唯一の『異能』が圧倒的な強さを見せました。


 雷獣の凄まじい電撃を輝く大楯で吸収・反射させて機械仕掛けのアイアンゴーレムに大打撃を与え、驚いて動きが止まった雷獣をまず、僕の光の矢が仕留める。


 さらにジルさんが、ゴーレムの鋼鉄の腕を繰り返しの一点集中攻撃でついに叩き切り、満身創痍の鉄巨人に僕がまたトドメの一撃を放って、試合終了。


 ◆二戦目:ローズ&リリィVS魔導式自動機械人形 四連戦

 ①人型マッドゴーレム『キラーパペットマン・マークⅡ』

 ②闘牛型ウッドゴーレム『ストロングビースト・ウッディ四世』

 ③蜂型ミスリルゴーレム『ランチャー・ホーネットVer.1.5』

 ④竜殺しの巨人『グレート・アサルトマシーン二号』


 二戦目は、ガンドル導師のオリジナル・ゴーレム・コレクションとの四連戦。

 ……というか、本当は三連戦の予定だったようですが。


 ローズ先輩とリリィさんがマッドゴーレムをレイピアの一撃で瞬殺。

 ウッドゴーレムはローズ先輩の《光剣化》したミスリルウィップでやっぱり瞬殺。

 炸裂弾を装備した空飛ぶ九体のハチ型ミスリルゴーレムさえ、ローズ先輩のミスリルウィップとリリィさんの二枚のバトルファンで大した苦も無く粉砕。


 《光の剣(レイブレード)》の破壊力と鞭の柔軟性を維持したまま、長さも性質も自由自在に操るローズ先輩の『異能』と、二枚の扇をこれまた自在に遠隔で操作するリリィさんの『異能』が光る戦いでしたね。

 ふたりの戦い方が、まるで舞台で踊る舞姫のようだったのも印象的でした。


 予定通りその三連戦で終わればよかったのですが、あまりにあっけない幕切れに、ナレーターがガンドル導師を挑発したことで、彼がブチ切れてしまい、ついには古代兵器なんかまで持ち出したのはさすがに想定外でした……


 『グレート・アサルトマシーン二号』……とかいう名前が付いていましたが、アレは紛れもなく古代魔法王朝時代の対竜戦闘兵器『ドラゴン・スローター』。

 ……のレプリカ、というかガンドル導師がそれを模して作ったんだそうですが、その魔導工学と技術力、そして再現力。

 もはや国家レベルを超えてませんかね……。


 しかも最後はなんか『れーざーびーむ』とかいう訳が分からない超魔法みたいなのも使ってくるし。


 そんな反則的な古代兵器に対しても驚くほど善戦した二人ですが、さすがのローズ先輩とリリィさんもついには敗北。

 ローズ先輩の負けを告げる防護結界が発動し、リリィさんも降参を宣言。

 そして大歓声の中で試合終了。


 ……の筈だったんですが。


 なんと、あろうことか古代兵器が暴走。

 アリス先輩とジルさんがいち早く異変に気付き駆け寄ろうとするも、その前にローズ先輩を守る防護結界の有効時間が切れあわや大惨事……となる直前で、突然ある”声”が円形闘技場(コロッセオ)に響き渡りました。


 美しく、恐ろしい唄声。

 聞く者の心臓を氷のように冷たい手で、握りつぶすような。


 その声に“止まれ”と命令されたドラゴン・スローター……もとい『グレート・アサルトマシーン二号』はどういう訳か()()()()()()()


 後でわかったことですが、それは〈血塗られた聖者たち(ブラディセインツ)〉の一人、【死を呼ぶ唄姫(デッドリーディーバ)】ミレイユさん——つまり片翼のセイレーンの『呪言』の力でした。


 さすが〈聖者たち〉。……怖い人ばっかり。


 ちなみにこれも後で彼女が僕たちの控室に来てわかったことですが、ミレイユさん、天使のような外見に似合わず、性格はヤンキーでした。

 ほんと、怖い人ばっかりです。

 小柄なドワーフのガンドル導師を、蹴鞠みたいに蹴ってたし……。


 ……さて、話を試合に戻しますね。

 最終戦は、ローズ先輩たちが破壊したリンクを修理してから改めて行われました。


 ◆三戦目(大将戦):隊長アリスVS聖霊ウガルルム(&モニカ)


 最終戦の相手は、謎の美女モニカさん……の召喚獣『ウガルルム』。

 狼のような顔にライオンのようなたてがみ、四本の腕に三日月刀を持った怪人でした。

 四本の曲刀に加えて暴風を操る強敵。


 《光の剣(レイブレード)》で切っても切ってもすぐに回復してしまう怪人に、完全に押され気味だった先輩ですが、苦戦の中でウガルルムの弱点が”火”であることに気づきました。


 けれど先輩が使える最強の火炎魔法《大炎球(ファイアボール)》もウガルルムの暴風に弾かれ、ついに打つ手なし……となった土壇場で、《光の剣(レイブレード)》と《大炎球(ファイアボール)》をドッキングした新技で、辛くも逆転勝利。


 今思うと、アレはアリス先輩の『異能』が開花した瞬間だったんでしょうね。

 まあ、先輩はその時自分で使った魔法で全身、特に両腕大火傷でしたけど……


 ——かくして、なんとか三戦二勝。

 七番隊は〈星芒騎士団〉のメンツを一応保てたようです。


 ……良かった……ほんと、良かった……。



     Ψ


 ちなみに、後から聞いた話ですが、僕たちがサンダリアンの円形闘技場(コロッセオ)で戦っている間、一番隊のルシア隊長と副隊長のシュカ先輩は別の任務で、ナディア第五の都市プロキオンの近くでまた妖魔退治をしていたそうです。


 今回の相手は豚面鬼(オーク)


 不可解なのは、その親玉の”オークロード”は、以前、アリス先輩たちが討伐した”ゴブリンロード”と同じように、人の言葉を喋ったとのこと。


 しかも、これもゴブリンロードの時と同じように、シュカ先輩が止めを刺すと、得体の知れないどす黒いオーラが天井に向かって吹き出したんだそうな。


 これで二回目。なんだかとっても気持ち悪いですよね……。

 とは言え、それが何を意味するのかは、ルシア隊長でも、王宮の【賢者】様ですらまだ分からない様ですが。


 何も起こらないことを、ただ祈るばかりです。


 以上が、前回の任務報告です。

 僕が直接その場に居合わせていない部分については、伝聞であること、ご容赦くださいね。


 もっと詳しい内容が知りたければ、やっぱり本編に目を通してもらえると嬉しいです。



     Ψ


 さてさて、そんなこんなで、僕たちはオルフェ隊長に押し付けられた円形闘技場(コロッセオ)での試練を何とか乗り越えた訳ですが……よく考えたら、健闘の余韻に浸っている時間はありませんでした。

 そりゃそうです。だって、ただ、護衛の二日目が終わったってだけですから……。


 でも明日は、ローレンス皇子殿下はモンスターハントツアーだけど、セシリア皇女殿下はサンダリアン市内に留まるはず。

 もちろん国家レベルの最重要警護対象ですから決して気は抜けないですが、市内なら警護ポイントも事前チェック済みだし、サンダリアン市兵団も厳重な警戒態勢を敷いているし。


 余程大規模なテロや腕の立つ暗殺者でも潜んでいない限りは、安全でしょう。


 ——と、誰もが思っていたのですが……


 どうやらまた、ローレンス皇子が何か言いだしたようです……。


 『第三部』の舞台は、砂漠の中にある、オアシスの街ファウンティナ。


 七番隊と、特にアリス先輩とセシリア皇女殿下との距離がもう少し近くなりそうな予感です。

 ついでにカンジの悪いローエンデール警護団の皆さんとも、上手くやって行かなければ……。


 皇女の護衛はまだやっと半分。

 後半もいろいろ波乱がありそうな予感です。


 ……うう、なんだか胃が痛くなってきた……。


 皆さんも、僕たちを応援してくださいね。




 おっと、思ったより長くなってしまいましたね。

 それでは、僕はこの辺で。

 

『第三部』、いよいよ始まります……!


 どうぞお楽しみに!


お読みいただき、本当にありがとうございました!


第三部も完結済みです。

『星降る夜のアリス 第三部』

https://ncode.syosetu.com/n2071md/


第四部も連載開始しました!(2026/8/11更新)

『星降る夜のアリス 第四部』

https://ncode.syosetu.com/n1756mp/


また同じ世界で、人ならざる種族の哀しい愛の物語『魔王の娘のセレナーデ』も連載を完結しました!

こちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです。


『魔王の娘のセレナーデ(長編版)』

https://ncode.syosetu.com/n5541ml/

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