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武技憂気日本大戦  作者: 囲井 鯀
―弐―
43/111

四十

 …………?


「五年?」

「ああ、五年だな。色んな事があったぞ」

「いや、五年前? 五年前だな?」


 オレが十六の時、つまり、オレと千夜が四国を後にする一年ほど前、という事だろう。戦争はもうすでに七、八年は続いているが全く収束する気配を見せない。

 むしろ、小規模・中規模な争いが各地で起こり、緩やかに激化への道を歩み始めているようにも思える。その中でも中国・四国連合軍と九州軍の戦いが一番大きなものだろうと思う。

 なぜ、三年間もオレ達はすれ違い続けていたのだろう? くそ、まただ、何かが干渉しているような、干渉してくるような苛立ちを覚える。

 一瞬、白い何かが脳裏を横切ったが、すぐに靄の中に混じっていった。


「……そう言えば、被はいつからここにいたんだ?」

「は? さっきお前に連れてこられたばっかりだぞ?」


 いきなり何言ってんだ?


「…………」

「…………」


 壱乃樹は一つ咳払いをする。


「このスラム街には、いつから居るんだ?」

「ああ、三年前からだ」

「……またあいつの仕業か……」


 呆れ交じりに、そう呟いたのだった。




 明くる日。破壊の爪痕が残るものの、スラム街の住人は全く興味を示していない。ただ、舗装が面倒だとぼやくだけなのだ。


「今日はどうするんだ? 出航か?」

「気が早いな! ……買い出しだよ」

「いってらっしゃい」

「待て待て待て! 待てぃ! 被も一緒に来るんだよ!」


 倉庫に戻ろうとするオレに壱乃樹は抱きついてくる。腰の刀で一突きしてやろうか?

 刀の柄に手を乗せると壱騎樹はオレから離れた。ものわかりが良い。


「まあまあ、武器とか揃えに行くだけだし、良いだろ?」

「オレは関係ないだろ」


 仙流があれば問題ない。

 しかし壱乃樹は諦めない。


「俺が世話になった奴でもあるんだ、会っておいて損はないだろ?」

「いや、意味がわからないから」

「腕は確かだし、業物にだって出会えるかもしれないだろ?」

「オレが浮気するわけないだろ、アホか」

「そういう話じゃない!?」

「オレには仙流があれば十分だ」

「でも、その刀、ボロボロじゃないか?」

「…………」


 鬱陶しくなってきたから仕方なくついて行くことにした。

 まあ、仙流以外に刀が貰えるなら嬉しいのだが、期待しないでおこう。

 あと、手入れの仕方とか教わりたいし。

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