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武技憂気日本大戦  作者: 囲井 鯀
―弐―
29/111

二十七

「誰だお前」

「九州地方出身のただの高校生だ」

「コーコーセー?」

「君は馬鹿だね」

「ウルセー」


 オレと千夜が四国地方から中国地方に旅立ってから約一年。

 無言曲舞と名乗る男と出会ってから約三ヶ月。

 千夜の事だから、今頃九州地方でドンパチとは行かなくとも、ボカスカやっているころだろう。

 しかしそんなことはこの際どうでもいい。

 今重要なのは、オレがこの青い髪の少年と真正面から戦って、果たして生き残れるか、それだけだ。

 たぶん腰の刀で突き殺される。いや、殺さないで。


「まったく、散歩ついでに瓦礫掃除と思ってちょっと遠出したら、九州地方からの刺客かよ。今日は厄日か?」

「そうなるだろうね。君は今日、此処で、僕の手によって殺されるんだから」

「そうかい、そりゃもう、オレの人生で一番の厄日じゃねーか」


 やってらんねーという風にオレは肩をすくめる。川辺川と名乗った少年は出会った時から今まで、少しも変わらずに無表情だった。


「じゃあ、オレを殺す人間は誰か、心に刻ませてくれ」

「川辺川。上から読んでも下から読んでも川辺川。それが僕の名字だ」


 青髪の少年はそう言った。


「へえ、じゃあ上から読んでも下から読んでも川辺川な川辺川クンの名前は何ていうんだい、川辺川クン」

「キヨナガだ。清い流れと書いて清流だ」

「ハッ、笑わせてくれるじゃねーか」


 オレはバキバキと拳を鳴らす。

 流石に今のはイラっときた。


「日本で最後の清流って言ったらお前……」


 首の付け根に手をあて、ゴキリと首を鳴らす。


「四万十川だけだろうが!」


 ダンッ! と地面を力強く蹴り、川辺川に向かって走り出す。

 もう、頭にきてしまった。

 人形みたいに表情が変化しないし、余裕ぶっこいていられるのも今の内だと思い知らせてやらねばならない。


「僕は川辺川清流だ」


 川辺川は腰に帯びた刀に手を添え、構える。彼の周囲の空気が一変した様に感じられた。


「オレの名前は弐騎継被だ!」

 次回から戦闘シーン入ります。

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