二十四
信長を見送って、ベッドを元の位置に戻していると廊下からどたばたと音が聞こえてきた。
「何事ですか、弐騎継さん!?」
なんか来た。
「信長ちゃんの悲鳴が聞こえたんですが!?」
開けっ放しの扉から二人の男女がやってきた。
先に入ってきた男は喪服を着ていて、更に目を閉じている。確か、言秀さんだった気がする。武器は何も持っていないようだが、千夜には注意しろと言われている人物なので、注意しておく。
女性の方は女性の方で、えっと、名前は確か九重さんだ。黒を基調としたゴスロリ着ていて、白いレースがよく映えている。それ以上に存在感を持つのは、背中に背負った身の丈ほどの大剣だ。振り回してきそうだからあまり怒らせないようにしよう。
この二人に更に矢掛さんを加えれば、D班の完成だ。少ないぞ、おい。
「……しかし、信長はもう遠征に行ってるはずですよ?」
オレの部屋の窓から。
「それもそうですね」
九重さんは尤もだ、という風に頷く。いや九重さんあなた、さっき信長の悲鳴が聞こえたって叫んでましたよね?
実は信長のことは皆には秘密にしてもらっている。無言さんや千夜には協力してもらっている次第だ。特に千夜の説得は骨が折れた。あいついつもオレと一緒にいないといけないから仕方なかったんだけど……。
「……しかし信長の匂いがしますよ。大公の匂いも」
「あー、はいはい?」
「弐騎継ちゃん?」
おい、なんだよお前。あ、そういえば言秀さんって熊並みに鼻が利くんだっけか。思わぬ誤算だった。
「どういうことかな、弐騎継ちゃん?」
「……九重、敬語」
再び問いかけてくる九重さんの頭を軽く叩く。
いや、そんなことより敬語で思い出した。
「いえ、敬語でなくて結構ですよ」
そういうと、九重さんが目を丸くしてオレの顔をにら……んでない、覗き込んできた。
「え、いいの?」
「はい」
「じゃあ弐騎継ちゃんもタメ語ね」
タメ……、ああん?
「敬語じゃなくっていいってことだ。俺たちは同じ戦場に身を置く身、互いの関係に上下はないのが普通だろ?」
「ん、まあ、はい……」
この人何言ってんだろ。下剋上目指してる感じだろうか? 何を言っているかさっぱりわからない。
「んー、そういうのとは違うけど、まあ、仲良くしようね、仲良く」
「そうで、えー、すね」
疲れるな。
12月14日 一部改稿




