第三話 超えた一線
第三話 超えた一線
ー東シナ海ー
中国海軍遼寧、山東。
夜明けの光が、二隻の巨大な甲板を淡く照らす。
「発艦!」
短い号令と共にJ-15戦闘機が一気に加速。カタパルトには蒸気だけが残り、空へと放たれる。
1機、2機、そして8機の編隊となる。
ー西太平洋ー
「空母遼寧及び山東より発艦を確認」
E-2Dのレーダー要員が報告する。
同時刻、両艦を追尾する米潜水艦からも動きを探知する。
「間違いない、作戦行動に入った」
艦長がつぶやき、艦橋内は緊張が走る。
「こちらジョージ・ワシントン、司令部へ。中国空母艦載機8機の発艦を確認」
ー嘉手納基地ー
「F-35、スクランブル。南方海上の敵空母に攻撃を仕掛けろ」
隊長が言う。F-35のパイロットは走りコックピットに乗り込む。
滑走路に入り、アフターバーナーをかけ一気に加速していく。
ー東シナ海 遼寧、山東ー
中国側も、嘉手納から上がるF-35を探知した。
「敵ステルス機7機。方位176、こちらに向かってくる針路です」
報告を受け、艦内は静まる。
「…勝算はない。ここで無駄な損害を出すな。全機帰投させろ」
艦長が指示するが、誰も動かない。
「帰投させろと言ったのだ、聞こえなかったか?」
それを聞き、動き出して航空隊に指示を出す。
J-15の編隊は反転し、空母へ帰投した。
帰投して数分後、米軍の航空隊が不思議な行動を見せる。
「敵ステルス機、3機が分離、残りの4機は針路まま」
ー米空軍航空隊ー
「海面すれすれを飛行しろ!」
中国軍遼寧、山東を攻撃する航空隊は海面すれすれを飛行している。
「敵艦との距離3km!」
「マッハ到達!」
「2つに別れるぞ、俺とキャロスは右側のやつをやる!」
直後、超音速で空母遼寧と山東の艦上を通過する。
ー東シナ海 遼寧、山東ー
「衝撃波がくる、総員衝撃に備え!」
その号令を言い終わる前に、米軍の航空隊は超音速で艦上を通過する。
「状況報告をしろ!」
「対空、対艦レーダーに異常あり!」
「対空火器、応戦しろ!」
遼寧のCIWSが弾をまばらに撃つが、F-35の姿は既になかった。
ー嘉手納基地 正門前ー
基地の前では数百人規模のデモ隊が声を上げていた。
「戦争反対!」
「基地はいらない!」
プラカードを掲げる。
その時、基地内ではスクランブルを告げるサイレンが鳴り響いた。
デモ隊は気に留めない。
数分後、4機のF-35が轟音をたて離陸する。
「戦争反対!」
デモは続く。
数十分後、さらに10機が続けて離陸した。
ー沖縄沖南方ー
先行の4機と後続の10機が合流する。
「J-20、18機。高速で接近中」
「警告射撃は必要ない。接近次第実弾で発射だ」
すぐに射程に入る。
宣言通りAIM-120が実弾で放たれる。
だが、中国軍機は反撃せずフレアを散布し回避行動を取り、すぐに隊形を整える。針路も変えず、沖縄に直進する。
第二波攻撃。1発が命中し1機の残骸が沖縄の青い海に堕ちていく。
だが、動揺する様子も見せずただひたすらと進撃する。
「…おかしい」
第三波に移ろうとした時、
「敵機、全機上昇!」
「なに!?」
J-20は高度を一気に上げ、すぐに急降下。
眼下に広がるのは、沖縄の海と…、嘉手納基地だった。
「嘉手納司令部に連絡、敵機が向かっています!」
言い終わった瞬間、J-20は全機4発ずつ、計72発のミサイルを発射した。
「迎撃しろ!」
F-35は迎撃を試みる。が、数が多すぎた。
ー嘉手納基地ー
爆発。炎。
今、嘉手納基地にあるのはそれだけだった。
滑走路は使用不能に、エプロンに駐機中のF-16、F-35も無力で次々と破壊される。
基地は沈黙した。
ー嘉手納基地 正門前ー
デモ隊は悲鳴を上げ、逃げ惑う。
「我々の指示に従ってください!」
警備隊が叫ぶが、混乱はおさまらない。
次が来るかもしれないという恐怖と、混乱だけが残った。
ー北京ー
中国政府は会見を開いた。
「先ほど、米海軍機が演習中の我が空母に攻撃を仕掛けた。その報復措置とし、米軍嘉手納基地への攻撃をやむなく実施した」
淡々と続ける。
「また、日本国への領空侵犯に対しては深く陳謝する。」
ー日本国内ー
三沢、岩国、横田、厚木。
嘉手納が沈黙し、在日米軍航空基地は常時CAP体勢に入った。
空に、常に戦闘機がいる日常が始まった。
ーペンタゴンー
「嘉手納はやられた」
「報復作戦を立案する」
スクリーンに編成が映る。
主力部隊
F-22×24
F/A-18×38
E/A-18G×18
F-35A/B/C 各34
A-10×10
F-16×12
支援部隊
E-3×2
E-2D×2
AH-64×18
RC-135×1
KC-135×4
RQ-170×3
「以上が、第一次攻撃部隊だ」




