C7.5 衝突 ― 5 ― 不安の正体?
「魔王様、帝国の第4皇子から直接お知らせしたいことがあるとのこと。」
「分かった、準備しておこう。」
緊急の要件ならシャドウナイトを通じるはず。
わざわざ会って話すことがある、というのが良く分からないな。
・・・
・・
・
「久しぶりだな。」
「挨拶のために余を呼んだのか?」
「・・・ほぉ、前回と雰囲気が違うのは気構えのせいか。
2~3確認しておきたいことがある。」
「手短にな、これでも忙しい身の上なのだ。」
「うむ・・・一つ、お前は狙われているか?
二つ、魔本という言葉に聞き覚えは?
三つ、“勇者”と言う存在に心当たりは?」
「・・・暫し待て。」
「うん?返答に困るようなことだった・・・か。」
そこで第4皇子は言葉を詰まらせる。
「・・・雰囲気がえらく変わるじゃないか。」
「お前の質問のうち2つ、特に1つが重要な言葉が含まれていたのでな。
片手間で応えるわけにはいかなかった、それだけだ。」
「よくは分からんが重要な案件だったんだな。」
「1つ目の質問。
狙われていると言えば我等魔族は誰かしらが常に狙っているだろう?
その中でも魔王ともなれば特に、な。
余を狙っているかもしれない輩、その内容によっては重要な話だ。
2つ目の質問。
魔本の種類によるが、集めているものかもしれない。
ただ、今はごたごたしていて蒐集にかまけている暇は無い。
お前の持ってきた情報と言うのが、仮にその収集の手間が省ける事案であるなら重要だ。
3つ目の質問。
それは知らん。」
「ふむ・・・簡潔だな。
1つ目だが、帝国の北の外れの更に先に、小物だが何人かの魔王が居る。
2つ目にも絡んでくる話だが、魔導師が二人手を組んでその魔王どもを駆逐したのだ。
それだけなら良かったのだが、その魔導師二人組は魔王達の討伐を果たした後、何者かの襲撃を受けて酷い手傷を負ったそうだ。」
おいおい、そんな戦力、魔王を倒しただけで良かったとかで済ませて良いのか帝国皇子。
余なら取り込むことを考えるぞ。
「更に逃げ延びた先の村で、二人の死亡が確認された。
隠れて忍び込んでいたらしく、見つけた時には手遅れだったらしい。
発見された当時は、何か得体の知れない力を持った本を所持していたと報告がある。
残念ながら俺の部下が駆け付けた時にはどこにも無かったんだが。」
ぐっ・・・魔本の持ち主が・・・殺された・・・か。
これは痛い、別の魔本持ちが持ち去った可能性が出てくる。
・・・この感情は外に出さないようにしながら話の続きを聞く。
「北の方は人が余り居ないのもあって、魔族たちが多くてな。
他にも沢山魔王を名乗る者が居たんだが・・・二人組とは別口で、何者かに殲滅させられたという報告が来ている。」
「それが“勇者”・・・と?」
「そう、つまり質問の1と3は分けたが、恐らく同一の案件だろう。
しかも噂では南下してきている。
いずれお前達の下にも現れるかもしれない。」
「ふう・・・分かった、情報感謝する。
そちらに居る妖精の混成部隊には、お前の指示も聞くよう伝えておこう。
使える奴等だから気に入るだろう。」
「ふっ、ありがたい。」
何時もながら凄みのある笑顔を返してくる“13歳”だこと。




