C7.3 衝突 ― 3 ― 不埒者と反魔教
とりあえず部屋を造って入れて置こう。
客と言うわけでもないが、囚人では無いのでちゃんとした一式揃った部屋を造らないとな。
「後であの部屋を用意するので入れて置け。」
「何故またあのような大掛かりな部屋を?」
「あの部屋は死なない、つまり状態の維持という面を持つが、他のマナの介在を阻む側面も持っている。
加護無しにマナは猛毒だろう?」
「成程、畏まりました。」
「それから、暫く研究に入る。
余程のことが無い限り報告せず、幹部達で対処しろ。
デスロードは・・・そいつの当面の相手になってやれ。
その間はミノタウロス兄、お前が統括せよ。」
恭しくかしずくミノタウロス兄、心なしか弟は誇らし気だ。
対照的にあんぐりと口を開けているデスロード、しかし反論は許さん。
こうして固まるデスロードに、同じく固まっている加護無しを丸投げして自室に戻ったのだった。
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研究に入って暫くするとシャドウナイトからは細かい各地の情報が寄せられる。
重要な報告以外は不要とは言ったが、こういう所は止めようがないので改善すべきか。
・・・しかし、うち二つに関しては重要度が高いものだった。
うち一つは、例の獣人村がまた不埒者どもに襲われた件。
今回は高名な傭兵部隊が混じっていたようで、伏せていたイモータルズが大分やられたようだ。
まぁ有象無象の骨で作ったゴーレム紛いの手下が破壊された位で、デスロードも目くじら立てることは無いだろう。
此方は当初雲行きが怪しかったが、シャドウナイトの連絡を受けた例の皇子が出張ってきて、あっさりと制圧してしまったらしい。
もう一方は反魔教が我等の森に踏み入った事。
あれらは魔族滅ぶべし、と無差別に魔族を襲うややこしい輩らしい。
正確に言えば、マナそのものが神の意に反するものだ!という教義だとか。
マナを生きる糧の一部としている我ら魔族も、奴等の教義の延長上にあり、神の意に沿わない存在なんだろう。
シャドウナイトは余の眷属・食客全てに薄く広く憑けている。
どこかで防衛に回らせると密度が更に薄まり、下手をすれば誰かの分が解けてしまうだろう。
出張っている部隊で何とかするのが理想だが・・・。
ここにもう一度シャドウナイトから報告が上がる。
ミノタウロス兄が犬猫混成部隊を獣人村に、城周辺の森へは人馬部隊を迎撃に当たらせたようだ。
犬猫混成部隊の機動力と攪乱能力は群を抜いてるし、人馬部隊は普通の魔族とは違い、より人に近い存在なので、反魔教のマナを霧散させる特殊な技能の影響を受けない、か。
流石元古竜魔王の所で将軍をやっていただけはあって、正に適材適所だな。
眷属を任せられる部下が二人いるというのは何とも頼もしいものだ。
これで研究に専念できるな・・・。
何か、何か嫌な予感がしてならないのだ。
研究の完成を急がねば・・・。




