C7.2 衝突 ― 2 ― 拾われた者
「・・・・・・」「・・・・・・」
「あ、あ、あの・・・これは何のアトラクション・・・」
「どう見る?」
「主、わざわざ問われずとも、これはアレでしょう。」
・・・そう、答えは分かっている。
この者には本来あるべきはずの大地の加護が全く無い。
この世界の生物にはあるまじき存在。
確かに極稀に外より飛来する存在はあるにはある・・・が、こいつはただの人間だ。
「余は初めて見るな。」
「私もで御座います。
大魔法協会直下の魔導都市であれば、何人も保護していると聞きますが。」
「え?なに?なんなの?そういう設定??」
「どうすればこいつに現状を理解させられる?」
「そうですな・・・ミノタウロス兄弟をここに呼んでみては?
過去の事例でも、作り物だの機械だのと様々な言い訳で現実逃避したらしいので。」
「奴等なら作り物たり得ない、か。」
「あ、あのー・・・話、通じてます?」
すぐさまシャドウナイトを通じて牛兄弟を呼ぶ。
拾われ者は相手にされず落ち着かない様子だったが、しばらくして現れた牛兄弟を前に固まってしまった。
「お呼びで御座いますか?」
「参上致しまシュルル!」
暫くしておもむろに動き出すと、牛兄弟の方に歩み寄って触ろうとする。
牛兄弟は若干嫌がっていたが、そのまま好きにさせるように目で合図する。
そして加護を持たない人間は、やがて大きく後ろに飛び退いた。
「い、い、い・・・」
む?流石に恐怖で叫びだすか?とするとうるさくなるな・・・。
「異世界キタコレー!!!」
・・・はい?
デスロードを見る・・・口を開けているな、予想外だったようだ。
牛兄弟・・・は若干引いている。
偽メイド・・・予想はついてたが大爆笑だ。
何だこの生き物。
「これは異世界ですよね!?
で?俺、あいや私はどこに呼ばれたんでしょうか!?」
「・・・呼んではいないが、ここは魔王である余の城だ。」
この言葉にビクッ!と体を震わせ、ギギギと音を立ててそうな動きで周りを見渡す加護無し。
一連の騒ぎで任を帯びていない者達が集まってきていた。
「で、では、私は勇者であったりだとか、用があって呼ばれた訳では・・・?」
「無いな、現状お前をどうするか思案中だ。」
「なんてこったー!!!」
見事なまでの絶望ポーズを決めて、その場にうずくまる加護無し。
・・・なんか面白くなってきた。
「主、この者、このままにしておけばいずれ・・・。」
「ふっ、ん?あー・・・そうだな。
ある意味稀少で貴重な経験かもしれんから、ここでしばらくの間保護するか。」
「ちょ!?あの!?私、先程の!最初の!お話だと!元の場所に捨てられる予定だったのでは!?
でしたら・・・そちらの方が良いなぁ・・・。」
「お前には分からないだろうが、お前にはこの世界で生きていくための加護が無いんだ。
放っておけば、1週間かそこらで得体の知れぬ何かになるか、大概は死ぬぞ?」
揉み手をするような縮こまった体勢のまま、分っかり易い絶望の顔を作って固まる加護無し。
遠慮会釈無く爆笑を続ける偽メイド ―笑いを秘かに堪えている今はお前が羨ましい― は後で吹っ飛ばす。
ともあれ、これが余にとって初めての経験となる“転生者”との邂逅であった。
ある意味“なろう”らしいテーマですが、彼はかつ・・・げふんげふん。




