C6.23 足場固め ― 23 ― 改めて、魔王宣言
我が眷属による対エルフ訓練も偽メイドが驚く位の速さで上達し、精霊魔法への対処も上々だ。
平行して古竜魔王が行ったギフトを、少々弱めたレベルで眷属達とそれを望む食客に施す。
あのレベルのギフトに耐えられる連中は、幹部を除き余り居ないからだ。
狙われているであろう黒と闇のエルフ達も、実力の底上げが成されたことでそうそう簡単には狩られないだろう。
少々手間取ったのはケンタウロス達だ。
余りに怯えるので話が進まず、リーダーも「部下の命は危険に晒せねえ!あたいが犠牲になる!」とか言い出す始末、失敬な。
面倒臭いので威圧でがんじがらめに動けなくし、底上げをしてやった。
目に見えてパワーアップしたのか途端に態度を変え、部下達にギフトを強制する始末。
これ以降奴等の忠誠心が恐怖を上回った気がする。
幹部連中のギフトに手抜きは無用だ。
それでも普段から自己鍛錬を重ねている者が殆どで、大きな変化は見られなかった。
偽メイドは・・・要らないと。
まぁこれで私の眷属や身内達の強化は成された。
・・・
・・
・
「今日皆に集まってもらったのは、ここで改めて誓うためだ。」
「誓う、とは?」
「デスロード、お前に誘われる、もしくは誘導、そそのかされて魔王になったわけだが、」
「酷い言われ様ですな。」
「つい最近までは流されるまま魔王を演じていた。
しかし眷属も充実してきて、直近の王国にはケットシーの、大陸最大の国家・帝国には第4皇子直々の足掛かりも得ることができた。
ここで改めて、私は・・・いや余は魔王であると宣言する!」
全力全開で支配下のマナを、城全体を覆い尽くすように放出する。
「こ、これは・・・。」
「な、なんと、もう古竜魔王様に迫る勢い・・・。」
「・・・あはっ♪」
皆一様に私の、いや余の全力を感じているようだな。
今までと違い、今回は威圧を込めてはいない。
お前達の王はこれだけの力を持っている、という誇示。
敵意を持っていれば恐怖しただろうが、我が眷属にとって見れば安心感を得られるに違いない。
「何か言いたい者はこの場で言うといい。
遠慮は要らんぞ?
そろそろ領土の運営は幹部達に任せるつもりでいるので、集まる機会も減るだろうしな。」
「じゃあだーりん、僕とけっ」
「却下。」
「ちょ!酷いんじゃないかい!?最後まで言えてないし!?遠慮無くって言ったよね!?」
「聞いてはやるが聞き入れるかどうかは別だろう。」
「ぐぬぬ・・・」
偽メイドは相変わらずだな。
しかし、おかげで少し場が和んだ。
・・・余がこのやり取りを愉しみ始めたと言ったら、喜ぶだろうか?照れるだろうか?
・・・言わぬが華、よな。
「これ以上は何もなさそうだな。
では余の眷属達よ!我等に繁栄を!」
「「「「「繁栄を!」」」」」
・・・
・・
・
「はっ!ちょっとやりすぎじゃねえの?」
「良いんだよこれで。」
「まぁ、種は撒いたって所か。」
「そうだ、余はこれで心置きなく・・・」
「ぷっ」
「・・・笑うなよ、他人事じゃないんだぞ?」
「あ・・・あーくっそー。」
「まああれだ・・・頑張れ。」
「・・・はぁ、お前もな。」
これが物事を良く理解する賢き魔王、賢魔王と呼ばれる魔王の誕生した日だった。




