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美少女(攻略対象)まみれのハーレム・スターウォーズ!!  作者: 呑竜
「第2部第2章:宇宙港の決斗!!」

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「宇宙港の決斗!!」

 ~~~新堂助しんどうたすく~~~




 宇宙港中のスピーカーが、よく聞き慣れた声を吐き出した。


 ──てめえタスク! どうも帰って来ねえ帰って来ねえと思ったら、やっぱり女を連れ込んでやがったな!? このスケコマシめ! 今すぐここ来て土下座しろ!

 怒り心頭の妙子。


 ──旦那様? この後ちょっと、話があるからな? そんな奴は1分で片づけろ。……わかるな? 1秒遅れるごとに一発だ。

 ピシッと竹刀を打ちつける音と共に御子神。


 ──あっはっは! ホント面白いねえアンタら!

 姉御キャラっぽい笑い声は誰のかわからんけど……。


 放送設備のあるガードタワーに目を向けると、窓辺に妙子っぽいメガネっ娘と御子神っぽい剣道女子と、誰だかわからない紫色の髪の女の子の姿が見えた。


 あいつらがガードタワーにいるということはゲート付近の攻防がガード側に傾いたということなのだが、まったく喜べなかった。


「やっべえ……」

 むしろだらだらと冷や汗を流した。

「もたもたしてたら殺される……」

 待ち受ける未来を想像すると、胃がきりきりした。


「……少年、仲間が来たからといって救われた気になっているなら大間違いだぞ? 状況は依然として変わっていない。おまえは最低最悪のテロリストとして、正義の味方である私に処分される運命だ」


 大佐が待て待てとばかりに口を挟んだ。


 この人だって状況の変化には気づいているはずだが、終始余裕の態度を崩さない。

 よほど部下たちを信頼しているのか、自分ひとりでも切り抜けられる自信があるのか。はたまたリスクジャンキーの変態か。


 ……ま、どっちでもいいわ。それより今この人、聞き捨てならないこと言ったね。

 本気でトサカにきたわ。訴訟も辞さない。


「……救われた(・ ・ ・ ・)気になってる、だと?」

 俺は怒りで声を震わせた。

「あんた目ぇ見えてんのか? 耳聞こえてんのか? この状況のどこをどう見たらそんな風に思えるんだ? 脳味噌入ってんのか?」


「……なんだと?」

 大佐は眉をひそめた。


「本当にわかんねえのか? 救いようのねえバカか? あのな、今の俺にはタイムリミットがあんだよ。1分以内に戻って土下座して謝らねえと、とんでもねえお仕置きが待ってんだよ。トラウマになるぐらいの説教の嵐、骨も折れんばかりの殴打の嵐。1秒遅れるごとに一言一発増えるんだよ。てめえなんかに構ってられっか。悪魔の兵器? 死の商人? どうでもいいよ。そんなことより俺の命が風前の灯火なんだよ。反省も後悔も軌道修正もあとで(・ ・ ・)してやる。今はあんたを片づけるのが先だ」


 ──おらタスク、カウントダウン、始めるぞー!


「言っとくが、俺のじゃねえかんな? あんたの命のカウントダウンだ」 


 俺はエネルギー切れになったSMGタイプの光線銃ライトニングを投げ捨てた。


「ふうむ……たいした自信だが、光線銃も効かない私を相手に素手でどうするつもりだ?」


「はっ、バカか。言っとくがなあ、俺は素手のほう(・ ・ ・ ・ ・)()強えんだよ」


「………………なに?」


 無手のまま、大佐に向かって歩いて行く。

 一歩、二歩……距離を縮めながら体内で気を練り上げる。


「よく味わいな。こいつが武術(・ ・)だ」


「ブジュツ……なんだ?」 

 大佐は驚いたような顔をした。

「まさか……本当に素手なのか……?」


「味わって、死ね──」


 低く踏み込み、左掌を突き出した。

 対抗して大佐が展開したバリアに触れた(・ ・ ・)

 

「なんだ……それは?」


 俺の意図がわからず呆然とする大佐。

 構わずそのまま打ち込んだ。

 左の手の甲へ、右の掌打を。


 ドスンと。


「が……っ!?」

 大佐は腕を抱えるようにしてよろめいた。

「エーテル壁越しの打撃……だと?」

 余裕だった顔が、驚愕の形に歪んだ。


 裏当て、通し、透かし、透剄とうけい──呼び方は様々。各流派に伝わる、打撃技術の一系統。

 相手の筋肉硬直を利用して内部にダメージを浸透させるっていう理合いなんだけど、もともとは鎧越しに相手の心臓を打つための技だったんだ。硬いものならバリアでもいけるかなって思ってさ。先にバリアを張らせるために左掌で突き、本命の右の掌打でそこを通した(・ ・ ・)わけ。


「あんたらの攻撃が参考になったのさ。二度打ち(ダブル)っていうんだっけ? 地球の武術にもあるんだよ。そういうの」


「ふ……ふはっ、ふははははっ! 面白い、実に面白いな少年!」

 痛みに苦しむでなく、怒りに震えるでなく、大佐は愉快そうに高笑いを上げた。

「ひさしぶりだ! 打撃を身に受けたのは! そうかそうか、こういうものだったか、痛みとは! こういうものだったか、生きる(・ ・ ・)とは!」

 

「うるせえよ、いちいちラスボスっぽい笑い方してんじゃねえよ。あんたの様式美につき合ってる暇はもうねえんだよ」


 さらに仕掛けた。

 同じのをもう一発。

 残った左腕を潰してやる気で踏み込んだ。

 左掌を突き出した──大佐が左の手でバリアを展開した──そこへ右の掌打を思い切り──


 ゾリッと。


 嫌な手ごたえがあった。


「うえあ……っ!?」

 苦悶の声を上げたのは俺だった。

「……あの一瞬で質を変化させただと!? 壁じゃなく……針!?」


 左掌を見た。

 血まみれだった。

 俺の血だ。バリアに触れた部分の皮がごっそりめくれて、ひどいことになっていた。

 原因は、まあ台詞の通りだ。

 バリアが板状から、細かい針の集合体みたいに変化した。

 そこへ思い切り右の掌打を叩きつけたりしたもんだから……。


「はっはっはあーっ、どうだ、痛いか!? 少年も痛みを感じてるのか!?」


「なんで嬉しそうなんだよ、この変態!」

 脂汗を流しながら、俺は精いっぱいの虚勢を張った。

「全っ然、痛くねえよーだ!」

 ベロベロバーと舌を出した。


 内心では──痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え痛え……泣くほど痛え! いやホントに泣きそう! 誰か胸を貸してくれ! 男のカッチカチのやつじゃなくて、女の子の柔らか~いの! 温かくて大っきいの!


 なんてことを思ってた。

 

 泣いててもしょうがないので、大佐の様子を観察した。

 右腕はだらりと垂れ下がったままだが、左腕は普通に動いている。

 針に打撃を通すのはさすがに無理があったか。やめときゃよかった。

 

 ──あと30秒ー!


 あ、やべっ。

 

「……いいな、少年。おまえとの戦いは、実に愉快だ」

 大佐の目には、賞賛の輝きが満ちていた。

「だが楽しませてもらってばかりでもなんだ、今度はこちらから行かせてもらうぞ?」


 なんとかしてぶっ飛ばす手段を模索していると、大佐の手刀がいきなり顔面に飛んできた。

 溜めも起こりも何も無い、ノーモーションの手刀。


「のうわっ!?」


 ぎりぎり顔を倒して避けた。

 わずかに掠めた頬から、鮮血が迸った。


「……よく避けた。偉いぞ少年」


 大佐の連続攻撃が始まった。

 リーチの長い手刀と蹴りが、全身にまとった光のおかげで刃物のような切れ味となって飛んでくる。

 大佐は格闘者としてもなかなかのもので、右腕が動かないのにも関わらず、俺はすぐに全身切り傷だらけにされた。


 ──あと15秒ー!


 いかんいかん。ホントにヤバい。

 あと15秒でカタをつけないと死ぬ。漏れなく殺される。


 必死に俺は考えた。

 細々とした突き蹴りではエーテルのバリアを超えられない。

 だからといって二度打ちみたいな隙のデカい大技を使えば、さっきみたいな大惨事が待っている。


 てことは……そうか──ハメて殺す。


 この間、0.3秒。

 方針を決めるなり、俺は肩幅に足を開いた。

 両腕から力を抜き、だらりと体側たいそくに下げた。


「……なんだ、諦めたのか?」

 

 大佐の手刀が飛んできた。

 狙いは顔面。


 ゆらぁり……粘性のある水のような動きで回避した。


「……? なんだそれは?」


 大佐が不思議そうな顔をした。

 一発で俺の動きの変化に気づくあたりはさすがというべきか。


「さて、なんでしょね」


 俺はにやにやと嘲笑いながら、右後方へ左後方へ、大きく蛇行するように動いた。

 流れる水に似た動きをすることから流水の動きと名づけられた、三条流の避けの奥義を発動したのだ。


「回避専念……ということか?」


 大佐は物珍しげに俺の動きを眺めた。


「へっ……そう思うなら試してみるかい?」


 俺は煽った。

 初見で易々と捉えられる技じゃない。

 躱しながら、隙を見つけて反撃してやる。


 どうやって反撃するのかって?

 そいつは見てのお楽しみ。


「ただの回避行動だと思うんなら試してみろよ。ご自慢の手刀でさ。どんと心臓、突いてこいよ」


 俺は心臓のあたりを叩き、にやりと笑った。


「……ふむ」


 明らかな俺の誘いに、大佐はやはり、愉悦めいた笑みを浮かべた。

 さすがはリスクジャンキー。危険地帯に踏み込まずにはいられないってか。


「悪くない、悪くないな。少年──」


 大佐は足を肩幅に広げ、重心を落とした。

 左腕を大きく後ろへ引き、初めて溜めらしい溜めを作った。


「その勇気に敬意を表して、こちらも最大(・ ・)を見せてやろう」

 

 ほい来た、バカが一匹釣れました。

 ……と、喜んでばかりもいられなそうだ。

 

 エーテル光の輝き、大佐の全身から放たれる凄み。

 今までとは比べものにならない迫力だ。

 俺にはわかる。

 あれは反撃を決めるどころか、下手をしたらそのまま殺されかねない一撃だ。


「ここはあれだ、騎兵隊の出番かね……」


 俺は空高く、人差し指を突き上げた。

 

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