第四十二話 トーナメント本戦 Ⅱ
『さて、トーナメント本戦も終盤になってきました。さて、準々決勝になりますこの試合は共に有名人であり、戦闘スタイルが真逆の「孤高の剣士」カイトさんと「姫騎士」スズさんのお二人です!』
『う~ん、私は姫ちゃんを応援するかな。同じ女の子だし』
観客席からの声援が痛いほど耳に届いてくる。
それにしても、何時聞いても「姫騎士」は恥ずかしいな…て、そんなこと考えてる場合じゃない、今は戦いに集中しないと。
目の前には対戦相手のカイトが立っている。彼とは何回か話したことはあったけど、実際にPTを組んだり戦闘を見た事は無いから、どんな戦いをするのかは分からない。
やっぱり最初は様子見をしながら、手堅く戦って行こう。
「ねぇ、スズちゃん」
「え?、あ、はい。なんですか?」
「スズちゃんはあのでっかい剣の人、知ってるかな?」
「でっかい剣の人?」
でっかい剣の人…今までの試合では数人は大剣を使う人は居たけど、わざわざでっかい剣と言ってるんだから、あの人のことだよね。
「う~ん、多分マントの人の事だよね…知らないけど」
「そう、ならいいや。お互い頑張ろうね~」
そう言って自分のスタート位置に戻って行った。
なんだったんだろう?まあ、私もあの人の正体は知りたいんだけど…なんで今聞いて来たんだろう?
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「くっ!!」
『おぉ~と、またまた、カイト選手の強烈な蹴りが炸裂した!!防戦一方のスズ選手、どうするのか!!』
『う~ん、相性が悪いね。カイトくんはスピード型の変則アタッカー、姫はバランス型のタンクだからね。カイトくんの変則的な攻撃の仕方も相まって、姫はかなりやりにくいと思うよぉ~』
カイトの鋭い斬撃を盾で受け止めるが、すぐさま左足の強烈な蹴りが襲ってくる。その蹴りを右手で受け止めるが、既に腕の防具はボコボコに凹んでいる。
「しぶといねぇ~」
「ハァハァ…それが、取り柄だからね」
カイトは今まで見た事も無い戦い方をしてくるから、どうにもやりにくい。基本は右手の片手剣でアーツを使わなずに切り込んでくるんだけど、空いた左手や左右の足で蹴りを放ってくる。
その変則的な攻撃に翻弄されて、上手く自分のペースに持ってこれないんだ。
攻撃力的にはそうでもないから何とかなってるけど、私の攻撃は殆ど当たらないのも問題ね。
ここは一か八かの賭けに出るなら、早いほうが良いよね。このまま無駄に削られるだけよりも、賭けた方が勝率が高い。
「鉄壁、守護、守りの鎧」
三つの防御系スキルをかけてから、左手の盾をポーチに入れて、鎧の留め具を外してインナーである革製の防具姿になる。基本的に戦闘は鎧を着ているから、何だか不思議な感覚がする。
ポーチから軽盾を装備する。防御力は半分以下になってるけど、身軽になった分攻撃に対応できるはず。
「へぇ…面白いことするねぇ」
剣を逆手に構えて、地面を思いっきり蹴ってどんどん加速して来る。私も片手剣を軽く握り直して、盾を正面に構える。
左からくる斬撃を盾で受け流す。カイトはそのまま体を回転させて後ろ回し蹴りを放ってくる。その蹴りをあえて前に出て盾で受け止める。
一瞬動きが止まった所に【スラッシュ】を放つが、一瞬早く離れられて攻撃は当たらない。
カイトが着地した隙にステップで接近して、斬撃や体術を盾で受け流したり躱したりしてなるべく接近して動きを制限する。
カイトもすこし嫌そうな顔をしながらも、私の攻撃を回避するが徐々に剣で防いだり避けそこなう事が増えてきた。
少し体力的にキツイけど、このまま上手くいけば…そう思って攻撃の手を一瞬緩めてしまった。その瞬間にカイトがしゃがみ込んで足払いをしてくる。
その足払いで体勢を崩しそうになるが、手を地面に付いて何とか倒れるのを防いで起き上がる。
カイトを視界に収めるとほぼ同時に、数本の投げナイフが飛んでくる。そのナイフを盾で弾くが、既にカイトの姿が目の前にまで迫っていた。
「くっ、はやい!」
「そろそろ、終わらせようか…意外につまんなかったしね」
さっきまでの様に剣を持ってなくて、前傾姿勢で腰に手を当てている…その腰には刀が差さっている。今のナイフ攻撃は武器を変える時間と接近までの時間稼ぎだったんだ。
気が付いた時にはすでに遅く、カイトの居合切りが飛んできた。しかし、何とか剣で防ぐことができる速さだ。
しかし、刀が軌道を変えて剣と盾の隙間を斬りつけられる。
「なっ!?」
更に素早く連続で斬撃が飛んでくる。その一発一発が今までの何倍にも重く感じられて、盾を持つ手が痺れていくように、握力が落ちていく。
そしてついに限界を迎えて、手から盾が弾き飛ばされて完全に無防備になる。
「一閃・桜華」
一瞬で何十にも感じられる斬撃が飛んでくる。その青い斬撃がまるで花のように咲き誇る。
その光景を最後に、私の初めてのトーナメント戦は終わりを告げた。




