第三十一話 トーナメント予選 Ⅰ
「さて!盛り上がってきましたね~」
「そうだね~、大体一対一か同数での戦闘が始まってるね~」
「ええ、そうですね!でも、例外も居ますね…あれ同じプレイヤーか疑いたくもなりますが…」
実況の戸惑いも尤もだろう。
闘技場の丸いフィールドのちょうど真ん中あたりで、一人の派手な剣士と複数のプレイヤーが対峙している。
「うぉりゃ~~、くたばれ!ユウキ!!!!」
「お前がな!」
ユウキと呼ばれた青年は、正面から大降りに振ってくる剣をタイミング良く盾で弾き、体勢を崩したところに【スラッシュ】を男の胴に叩き込む。
男はそのまま派手に吹き飛んでHPが0になる。その男の下に魔方陣が現れ、そのまま消えてしまった。
どうやらHPが0になると、強制的にフィールドの外に出されるようだ。
「隙あり!」
「大声出しちゃ、隙つけないぞ?」
後ろから大声で大斧を振り下ろす男を、まるで見えているかのようにステップで横に躱し、振り向きざまに【シールド・バッシュ】を放ち、男をスタンさせる。
動けない男に片手剣中級アーツの【ライジング・スラッシュ】を放つ。素早い五連撃の斬撃が綺麗な青い軌跡を残し、男のHPを削る。
止めとばかりに【リベルト・スラッシュ】を叩き込む。鋭い二回の突き攻撃の後の、横薙ぎの斬撃により男のHPは0になる。
静かに男二人がユウキの後ろから忍び寄り、無防備な背中に切りかかる。
しかし、後ろに目でも付いているかのようにその二人の攻撃をジャンプでかわす。が、それを読んでいたらしい残りの黒魔士の男が詠唱を終えていた。
男の頭の上に大きな魔方陣が浮かび、バスケットボールほどの大きさの火球が五発撃ち駄出される。これは黒魔士の火属性の中級魔法【ファイア・ストライク】だ。
ジャンプで空中に居る彼には、避けようもない攻撃のはずだった。しかし、彼は焦る素振りも無く、寧ろ余裕を感じさせる微笑を浮かべた。
火球がユウキに直撃する寸前で、彼は空中で真横にスライドするように移動して、火球を避けた。
「なにぃ!?」
「ほら、ボケッとすんなよ?」
ユウキが火球を回避し、そのまま黒魔士の男に向かって一直線に急降下してきた。
男は少し呆けていたが、ユウキが一直線に自分に向かってくるのを見てすぐさま動く。
「障壁!」
男の周りを囲うように、半透明の青白いドーム状のものが現れた。これは魔法系クラスの、クラスアビリティ【障壁】だ。
これは使用者の周りに物理、魔法ダメージを完全に遮断する壁を作るアビリティだ。このアビリティは任意で解除するか破壊されるまで継続され、使用者の最大MP分のダメージを無効化する効果がある。
ユウキは気にする素振りも無く、そのままドームの頂点に向けて剣を突き立てる。障壁はガリガリと音を立てるが、障壁に阻まれ剣は届かない。
黒魔士の詠唱を聞いて瞬時に後退する。
後退した直後に火球が飛んでくるが、それを盾で防ぐがHPが少し減る。
再度詠唱が始まるが、今度は上級の魔法なのか、詠唱の速度が遅い。
このゲームでは魔法を使うには詠唱が必要で、より強い魔法になればなるほど、詠唱の速度が遅くなるのだ。
撃たれる前に障壁を壊そうと、ステップですぐさま接近してアーツを次々と放つ。
青色の軌跡が障壁とぶつかり合い、ユウキの斬撃がガリガリと障壁を削る。
何発目かの斬撃で障壁にヒビができる。この状態になると、残りの耐久値は10%未満になっている。
「割れろ!」
「喰らえ! ファイア・ストーム!!」
少し後方に下がり、一気にステップで速度を付けて剣を突き出す。
鋭い突きにより障壁が壊されるのとほぼ同時に、詠唱が終了し魔法が発動する。
ユウキの足元に魔方陣が浮かび、大きな火の渦が彼の体を包む。
火の渦に飲まれてユウキのHPがだんだんと減っていき、更に火傷の状態異常にもかかっており、すでにHPは半分以上減っておりイエローにまでなっている。
「スラッシュ!リベルト・スラッシュ!ライジング・スラッシュ!!」
自分を飲み込む炎の渦に向かて、次々とアーツを放っていく。
アーツが炎に当たる度に、徐々に炎の勢いが衰えてきた。
基本的に、通常攻撃はアーツでカウンターができる。アーツに対しては同じ又はそのアーツ以上の威力のアーツで相殺ができる。
魔法にもこの法則が適応されている。魔法同士の場合は相対関係があるらしいが、詳しくは知らない。魔法とアーツの場合は、その魔法の威力の約二倍のダメージで相殺ができるらしい。
「シールド・ラージュ!!」
盾を前面に構え、スプリントのように低い姿勢で炎に向かて突っ込んでいく。炎の渦を掻き消して、盾を構えて物凄い速さで黒魔士の男に向かって突っ込んでいく。
黒魔士の男もその動きを予想していたらしく、すでに詠唱を終えて魔法を発動していた。
「ファイア・ランス!」
赤い火の槍が三本現れ、ユウキに向かってかなりの速さで飛んで行く。
飛んで来る三本の槍を同時に盾で受け止めたが、HPは減っていない。魔法を受け止める直前に何かのスキルを使ったのだろう。
攻撃を受け止めて、ステップを使いながら素早く接近してアーツをを打ち込むと黒魔士の男はなす術もなくHPを0にした。
一応アーツと魔法について…
例
ファイア・ボール LV1
属性:火 威力300 消費MP20
追加効果;火傷・確率5%
ファイア・ボール LV10
属性:火 威力400 消費MP20
追加効果:火傷・確率25%
特殊効果:同時発動可能数5 威力150 消費MP30
スラッシュ LV1
属性:斬 威力250 消費TP15
(連続使用による威力低下時)
スラッシュ LV1
属性:斬 威力10 消費TP20
スラッシュ LV10
属性:斬 威力320 消費TP15
追加効果:出血・確率5%
※
アーツは武器の熟練度毎に新しいアーツを覚える。
アーツにもLVが設定されており、威力上昇や追加効果があるものもある。
例【仮】
片手剣熟練度1:スラッシュ
片手剣熟練度5:ウェルト・スラッシュ
片手剣熟練度18:リベルト・スラッシュ
片手剣熟練度25:ライジング・スラッシュ
魔法もアーツと同じだが、武器の熟練度は魔法の詠唱速度、威力上昇など。
新しい魔法は属性の熟練度が上がれば覚える。
例【仮】
火属性魔法熟練度1:ファイア
火属性魔法熟練度4:ファイア・ボール
火属性魔法熟練度10:ファイア・ランス
火属性魔法熟練度17:ファイア・ウォール




