表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/18

限界突破その13

 良い所を奪われたわけだが、戦闘はしっかりやろう。

 3人で戦えば死神なんて、敵じゃないはずさ。


「いくよ!」


 これ以上良い所を取られないよう俺が指揮を取ろうとする。

 しかし、俺より先にサーズが物凄い形相で飛び出していった。


 恨みとかだろうか。

 手にはこのゲームの中に入ってから、少なくとも一番強そう…良い物そうな鎌を強く握り締めている。

 そして、鎌を死神に振るう。

 あんな重く俺の振るえなかった鎌を。


「どうなってやがる…」


 どうやら老人ですら少し小さいが鎌を、握って振り回すことができている。

 よぼよぼ歩きながらだけど、小さい鎌を振り回している。

 さっきの無魂石のあたりもあとで聞いとかなければ…


「勇者様! 早く!」


 サーズが怒涛の攻撃を繰り広げている。

 下手したら、俺より強いんじゃないか?と思ったが、防御や回避などができていない。

 実践が足りないのか?

 鎌の使い方はかなり上手い。


 俺も行かなければ!と、地面を思いっきり蹴り上げ飛び出していった。

 蹴り上げた瞬間、〔浮遊術〕を瞬間的に使い、脚力を上げ加速する。


 俺の見事な動きにより、すぐに死神の近くにたどり着く。と同時に死神の無防備な頭に向け鎌を振り下ろす。

 しかし、余裕を持った動きで死神はあっさり避ける。が、避けた先には老人とサーズが鎌を構えて死神のHPを削るための攻撃を仕掛ける。。

 やはりサーズの鎌はでかい。なのに何故あそこまで使えるのだろうか。


 小さいほうが使いやすいと思うが、大きい鎌を自由に扱えたらかなりの戦力になると思う。


 最近感じ始めたことだが、このゲームはゲームのRPGなどのダメージ計算より、現実の戦闘のダメージ計算に近いと思う。


 頭や心臓などの大切な部位に当たれば大きいダメージが入るが、他の部位に同じ強さの攻撃を入れても頭や心臓ほどのダメージも入らない。

 それに、切断された腕や、足など…そういった類のダメージを受けた場合は、回復魔法や回復アイテムでは回復しなさそうだ。

 一種の状態異常みたいなものだろう。最大HPごと減って行くし、行動の制限もされる。

 それでは、戦闘にかなり不利になる。良く気が付いた。俺。


 今はどうでもいいか。ボーっとしていてはだめだ!

 そんな俺をよそに、サーズは鎌を振るが小さい鎌よりはさすがに遅い。老人の攻撃に遅れてサーズの鎌が死神の足を持ち去ろうとする。

 が、そう簡単にはいかず、死神の人間離れした動きと反射神経によってぎりぎり避けられる。


「ウゥオォォ…」


 死神が犬のように唸っている。

 今まで、こんなに反抗されたことが無かったのかもしれない。

 そう考えるとしてやったりだ。

 やられる側の気持ちになってみろよ。

 と、死神の威圧に押され少し距離を取る。


「勇者様! 一気にいくよっ!」


 調子が出てきたようなサーズが大きな声で言う。

 さっきのような恐ろしい形相ではなく、嬉しそうに鎌を握りしめる。

 復讐できるのが嬉しいのかな。これ、改心とみなされているのか?


 俺もいっちょいくか!

 老人は吐きそうな顔をしているけど気にしないで置こう。


「おうよっ!」


 サーズの掛け声に俺は気合を入れなおす。


 石があれば…と思ったが、石を投げてもダメージ与えられないんだ。忘れていた。

 実際の戦闘を体験したことがないから、戦闘中に余計なことばかり考えてしまうな…

 一気に攻めようと意気込んで、覚悟を決めて周りの状況を確認…と思い、振り向いたら老人が息を切らして近くの家にもたれかかっていた。


「爺ちゃんっ! 休んでていいよ!」


 サーズは老人の様子に気が付き、俺より先に声をかける。

 周りも見れているな。俺より戦い慣れている。


 老人の持っていた鎌は二本だ。その二本は俺が使いたいな。

 多分、休むだろうからその二本は俺が使うとしよう。


「老人! 鎌を使いたいからこっちへ蹴れ!」


 投げられてダメージというのはもうごめんだ。

 ていうか、老人は魔法系のスキルなのだろう。何故鎌を…


「老人!? わしのことですか!? …わかったですじゃ!」


 老人はあなたしかいません。と心の中で呟く。

 ワンテンポ遅れて、老人のほとんど皆無に等しい蹴りで小さい鎌はすぅーっとこちらへ滑ってくる。

 やはり、鎌は軽いんだろうか。じゃなければ、あんな蹴りでここまで来ないはずだ。


「よし! 任せとけ!」


 鎌を受け取る前に俺は、死神に向かい鎌を思いっきり投げる。

 完全にサーズに向かっていた死神には当然突き刺さる。

 しかし、やはり脅威的な動きでクリーンヒットはできない。


「勇者様! ナイス!」


 サーズのさっきとは違う期待のかかっている声。

 鎌が足に突き刺さっていて、死神はそれを抜いてどこかへ思いっきり投げた。

 うわっ。見えなくなるとこまで飛んでいったぞ…異常だ。


 突き刺さったことで俺の目がし、HPの減少がどれくらいか目に視える。

 今ので大体7%。

 やばいな…勝てないかもしれない。

 思ったんだが、こいつらは死んだらどうなるんだろう。


 少し動きの鈍った死神の隙を逃さず、サーズが攻撃を仕掛ける。

 さっきより早い、鎌の一撃を死神の頭に目掛けて振る。


 死神はまたもや異常な動きで避けようとするが、こう来ると思っていたぜ!とここぞとばかりに俺は鎌を死神に投げる。

 そして、老人も死神になにかわからないが、魔法で攻撃している。

 鎌を俺に渡したからか。しかし、あんなに近いところだと攻撃が当たるだろう。

 しかし、なかなか良い攻撃をする。


 さすがの死神もこれでは避けられるはずも無い。

 魔法は避けたが、鎌一本腹に刺さり、サーズの鎌が死神の左腕を切り落とす。


「よっし!」

「やったぁ!!」


 と、俺とサーズが喜びの声を上げる。

 落ちた死神の腕が闇の霧となって消えていく。これでHPは残り60%程度だ!

 死神は腹に刺さった鎌を抜き、さっきと同じようにどこかへ鎌を投げる。

 最後の一本は投げないで使うしかない。


「いけるぞ!」


 俺はみんなの指揮も高めるために声に出して言う。こういうのは学校などでも結構大切だった。 

 それに、嘘で高めるとかではなく、どうみてもこれは完全にこっちのペースだ。

 みんなと戦うとここまで楽か。

 ログアウト不可でなければ、ゲームとしては最高だな。


「勇者様! 様子がおかしいよ! 一回下がろう!」

「わかった!」


 完全に戦闘の判断をサーズが取っているが、俺より判断力がありそうなので、何も言わず素直に従っている。


 そして、俺とサーズは後ろに下がる。


 老人は下がっていない。

 死神の真正面で魔法攻撃を繰り広げている。魔法だけ当たらなかったのが悔しかったのだろうか。

 いや、そんな悠長なことをいっている場合じゃない。


「爺ちゃん! 下がって! お願いだから!」


 サーズの心からの叫び。

 顔が歪み、これでもか と言うほどに声を張り上げている。


「老人! 言うことを聞け!」


 俺も叫ばずにはいられない。

 しかし、老人には届かない。心からの叫びでも。



 老人の攻撃に、死神は反応しない。

 確かに魔法で攻撃しているので、HPは多少…結構減っている。


 老人はいける!っと思っているのが顔に出ている。

 実際、俺もいけると思った。

 だが、次の瞬間。



 死神の顔が一気に変わった。


 目にも留まらぬと言う表現が正しいと思う。

 今までとは比べ物にならない力強さで。速さで。感情で。






 死神の鎌は、老人を真っ二つに引き裂いた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ