限界突破その14
今回は短いです。
耳を劈くようなサーズの叫び声。
辺りに飛び散る鮮血をただ呆然と見ていた。
死神のニヤッとした顔が、ゾクッと体中を駆け巡る。
やっとのことで視線を落とすと老人は上半身と下半身に分かれて、壊れた石像のように地面に転がっていた。
「爺ちゃん!」
やっとのことで出したサーズの声。ガラガラで本当に精一杯というのが伝わってくる。
死んだら元には戻らない。生き返らない。
これが普通だと思い知らされる。俺は異常だ。
俺はただただ、そこに立っている。
なにもできなかった。守れなかった。
なにが勇者だ。勇気も無い。力もない。知恵もない。
ただ立っているだけ。
死神は追い討ちをかけるように下半身を拾い上げ、力任せに地面に叩きつける。
下半身は嫌な音を立てて潰れ、ぼろぼろと消え去っていく。
更に上半身を拾い、口に手を当ててふわりと丸いふにょふにょした物を取り出す。
いわゆる魂だ。それはすぐにわかった。
それを二つに分けて片方を鎌に擦り込み、片方を口へと運ぶ。
そのときに満面の笑み。
サーズの支えとなっていた老人は跡形もなく崩れて消え去った。
標的が消えた死神は当然標的を変える。
「コロス」
残忍な冷たい表情を顔に浮かべ、こちらへ向き直る。
その冷たい一言は俺を動けなくするのには充分過ぎた。
怖い。
すぐにその感情に体を支配された。
この場から離れたい。すぐに。今すぐに。
逃げるわけにはいかないと中途半端な責任と覚悟に判断を下せない。
俺は死に戻りするからいい。
サーズは…老人は。普通に死ぬんだ。
命はひとつなんだ。しかし、怖い。
「勇者様。倒そう」
サーズは下を向かない。泣かない。
強い。なんて強いんだ。
俺より年下だろう。いや、年なんて関係ない。
尊敬と憧れ。
学校でもあった。しかし、ここまでではない。
単純にすごいと思った。
「おう」
サーズよりも酷い声で応える。
だが覚悟は決めた。
年齢じゃない。何故俺がじゃない。
サーズの近くにいるじゃないか。
近くにいる人で助け合う。それが人間だ。
「じゃあ、いこう」
そう言った時のサーズには恐怖すら覚えた。
恨みと後悔、怒りと悲しみ。
そんな負の感情が顔に表れている。
しかし、そんなサーズを俺はサポートしよう。
この死神を倒す。
そのことだけで頭がいっぱいだった。
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戦ったときの記憶が無い。
とにかく必死だった。サーズは良くやった。俺も全力を尽くせた。
詳細なんて覚えていない。
覚えていること。
サーズの怒涛の攻撃と俺の必死の追撃により死神を倒すことができた。
二日に一回投稿を目指したいと思います。不定期更新ですが、できる限り一定ペースでできるよう頑張っていきます。
毎日書いているのですが、忙しいもので時間が無く、少しずつ進めています。
誤字脱字、感想等…お待ちしております!
次回予告
次は死神を倒してから3ヶ月後程度の話です。




