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【連載版】夜会で「婚約破棄しよう」という常套句に呆れて振り返ったら、双子の愚兄だった件。  作者: 織子


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18/22

Episode18


「さて、もう少し街を見てまわりましょうか。まだ見たいお店があるのでしょう?」


シリルはミネルバの手を引いて街を歩いた。


何件か魔石の店を巡り、ミネルバが呟く。


「魔石の※ルースは意外と安価で置いてあるのですね‥‥」

「宝石とは違いますからね」

「でも、宝石より輝きは劣るけれど、綺麗ですよね?」

「ええ」


ミネルバは真剣な顔で思案している。


(ふむ‥‥)

アウグスタ子爵領は魔石の採掘場を数多く所有している。しかし純度が低い魔石が多く、使い道に困っていると聞く。


「ミネルバ嬢、魔石の事で何かお悩みが?」

ミネルバは目を見開いた。


「どうしてお分かりに?」

目をまん丸にして言うミネルバの可愛いこと可愛いこと。


「私にも何か良い案が浮かぶかもしれません。良ければ話していただけますか?」


ミネルバの顔色が少し曇ったが、迷いながらも聞かせてくれた。

「アウグスタでは魔石がよく採れるのですが、純度が低く魔道具には使用出来ません。ですので先日、宝石の様に加工してアクセサリーを作ってはどうかと‥‥量産できるので、宝石ほど希少性はありませんが‥‥少し裕福な平民層ならば需要があるのではとタナス男爵に言われたのです」


「‥‥悪い話ではないですね。タナス男爵と言えば、皇都にも何店舗か宝飾品店を構えていますし‥‥」

シリルはそう言ったが、ミネルバの表情は暗い。


「魔石の加工はどうするのですか?」

「アウグスタには魔石を加工する技術者はいません。タナス男爵が所有している技術者を数人、送ってくれるそうなのですが‥‥」

「共同事業にしようと言うのですか?」

「えっと‥‥はい」


――タナス男爵。元は商人の家系で、前男爵が爵位を購入して男爵になった新興貴族だ。たしか少し前に息子がその爵位を受け継いだはず。アウグスタより爵位も歴史も浅いが、事業で成功して財産だけはある。


「共同‥‥何か不利な条件を言われているのですか?」

「‥‥‥‥」

ミネルバは黙ってしまった。


(これ以上は答えてくれないか‥‥)


シリルは少し思案した。何と言えばいいだろう。第六感の様なものが、タナス男爵を引き離せと言っている。


「魔石をアクセサリーに加工して販売するのは良いと思います。純度の低い魔石が大量に採れる鉱山は、大陸に多くありません。織物に続いてアウグスタの名産品になるでしょう。タナス男爵の条件が難しいものならば、私が知っている魔石加工の職人を紹介致します」


「えっ。‥‥あ、ですが‥‥。そこまでしていただいて良いのでしょうか?アウグスタにはラウザーに差し出せるものがありません」

「いえ!父上もアウグスタ子爵家には申し訳ないことをしたと悔いておられます。是非、ラウザーに不義理を晴らす機会をください」


シリルが食い気味に言うと、ミネルバは狼狽えたものの、しばらくして頷いた。安堵したようにも見える。


「ありがとうございます。父に言って、またお返事させていただきます」

「はい。お願いします」

シリルも笑顔で返事をした。


(帰ったらすぐにタナス男爵家の動向を調べないとな)

ミネルバが言わなかった不利な条件がものすごく気になるからだ。


何にせよ、またアウグスタとの繋がりが増えそうでシリルにとっては僥倖である。


「あっ」

ミネルバか声を発した。視線の先を見ると、屋台が並んでいる。


「祭りでもやってるのか?」

シリルはライナスに聞く。

「いえ。この通りは夕刻になると屋台が並ぶのです」


ミネルバが見る先に、綿あめの店がある。

「行ってみませんか?」

シリルが誘うと、ミネルバは躊躇した。

「あ‥‥でも、子どもじゃあるまいし‥‥」

「大人が買ってもいいじゃないですか」


シリルは半ば強引にミネルバを屋台の方へ促した。



「何色が良いですか?」

シリルの質問にミネルバ狼狽えながら確認する。

「ほ、本当に買うのですか?」

「もちろんです」

綿あめとミネルバ。可愛いに決まっている。


「じゃ、じゃあピンクで」

照れながらミネルバが選ぶ。もう可愛いのでシリルは大満足だ。


綿あめを渡すと、ミネルバは珍しそうに眺めている。

「こうやって食べるんですよ」

綿あめをちぎって食べる。本当はミネルバの口に入れたかったが、それは駄目だろうとシリルにも分かる。


ミネルバはシリルと同じようにちぎって食べた。

「甘い。わ、手がべたべたになるのですね」


「もしかしなくても、初めてですか?」

(貴族は食べないのか?シリルも引き篭もっていたから、食べたことがないな)


「ええ、こういう場には父と視察で何度か来たことはありますが、食べたことはありませんでした」

少し寂しそうに、懐かしそうにミネルバは言う。


(幼少期から子爵の仕事に付いて来ていたみたいだし‥‥周りが大人だらけだったから、子どもらしい事をしてこなかったのか?)



綿あめをかじる手が止まり、またミネルバの視線が動いた。シリルも流れるようにその視線の先を追う。


「ああ、懐かしいな。フルーツ飴だ」

色とりどりのフルーツが、飴でコーティングされキラキラと輝いている。

横でミネルバの目もキラキラと輝く。


「‥‥ライナス。全種類買って来い」





※ルースは台座にはめ込まれていない裸石の事です。



読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
 コットンキャンディ♡  確か(水色)もあったからw(*^ー゜)紫作らせて知らん顔してw渡せば良かったのに~♪  フルーツ飴ゎ《苺》一択でしょう! (※いや?雰囲気でw(*^^*)個人的にゎレモンが…
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