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【連載版】夜会で「婚約破棄しよう」という常套句に呆れて振り返ったら、双子の愚兄だった件。  作者: 織子


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Episode.11


アウグスタ子爵邸を訪問した次の日、シリルは皇城に登城していた。


皇帝に呼ばれたのもあるが、シリル自身皇帝に言っておきたいことがある。


ミネルバがいないので服はどうでも良かったのだが、昨日公爵邸に戻ると、既に何着かシリルのサイズに合う服が揃えられていた。

ちなみに、前髪はまだ切っていない。まだ迷っている。

しかしやっぱり邪魔なので上げてもらった。


ここ数日、前髪を上げて過ごして分かったことがある。自分で言うのもなんだが、自分はものすごく見目の良い外見になった様だ。


前世では、可もなく不可もなくと言った外見だったので、すれ違う令嬢達からきゃあきゃあと黄色い声が聞こえても、慣れないしどうすれば良いのか分からない。


昨日の一件から距離の縮まった護衛のライナスに聞いてみたが、渋い顔で「何もしなくて良いです。慣れてください。今からその顔で生きていかれるのですから」と言われた。



(そうは言っても恥ずかしいじゃないか)


声をかけられるでもなく、数人の輪になった令嬢たちから悲鳴の様な声が聞こえる。恥ずかしくなり紅潮してしまった顔を腕で隠そうとしたら、また騒がれた。どうすればいいんだ。引き篭もりたくなってくる。


「照れる姿も可愛らしいわ!」

「何でしょう?漂う色気と言いますか‥‥」

「十六歳に見えない雰囲気をお持ちなのよね」


皇城の廊下を、すれ違う令嬢達の声を聞かないように足早に進む。


同じ速さで歩を進めながら歩くライナスに声をかけた。

「アレックスも普段こんな感じなのか?」

「そうですね、アレックス様も声をかけられてはおりましたが、ここまででは‥‥シリル様は既婚の女性達まで誘惑されておりますから」

「おい!してないだろ誘惑なんて。人聞きの悪い事を言うな」

ライナスは軽口のつもりなのか、本気なのかいまいち分からない。


そうこうしている内に謁見の間の前に着いた。シリルが扉に手をかけると、後ろから声をかけられた。


「シリル・ラウザー様。申し訳ありません。陛下は執務室でお待ちです」


(執務室?そんな距離の近い場所で拝謁するほど、皇帝とシリルは近い関係だったか?)

どうしても今までのシリルと、今の自分を別ものとして考えてしまう。以前のシリルも、今の自分も同じ人物だというのに。


「分かった。執務室の場所は知らないんだ。案内を頼む」


侍従に付いて行きながら、シリルは思った。

(もっと早く言ってくれよ)

また元来た長い廊下を戻る羽目になったからだ。令嬢達の声を聞きながら。





「陛下、シリル・ラウザー公爵令息をお連れしました」

「ああ」


扉を開くと、皇帝は外を眺めて立っていた。執務室とは言われたが、机に書類もない。

(執務室がひとつな訳はないが)

ここは執務室というより、私室に近いのでは?


シリルが入室し、ライナスも入ると皇帝が手で制止した。

「私は廊下で控えております」

ライナスは小声でシリルに言うと、一礼して下がった。扉を開けてここまで案内してくれた侍従も部屋には入らず扉を閉めた。


(皇帝か‥‥)

前世でも会ったことがある偉い人と言えば、働いていた会社の社長くらいだ。ましてや二人きりになどなったことはない。


一応伯父にあたる人物だが、前世で言う『親戚のおじさん』とは訳が違う。



「帝国の唯一の太陽にご挨拶致します」

シリルは今朝簡単に習った口上を述べた。


「こうやって二人で話すのは久しぶりだな」

皇帝はゆったりと口を開く。シリルは違和感を感じ間違いをすぐに正した。


「初めてだと思いますが?」


皇帝が『意外だ』とでも言うように目を見開く。

「ふむ。悪霊が取り憑いたという訳でもなさそうだな。ちゃんと記憶もあるのか」


「ええ。私はシリル・ラウザー本人です。性格は多少変わりましたが」

シリルが言うと、皇帝は豪快に笑った。

「ははははっ。そのようだな。お前の性格が変わったのは僥倖だ。その性格さえなんとかなればと、私も公爵も何度思った事か」


「今日、私を呼んだ理由は何ですか?」

シリルは得体のしれない人物から、早く離れたかった。


「ふむふむ。目上の者に不躾な物言いだな。報告のある通り、礼儀だけは一から習い直した方が良い」

(報告?父上からの報告とは別に、見張りがいるのか?)


「すぐに礼儀の授業を受けるつもりです」

「そうしなさい。ところで、ラウザーの公爵位を継いでくれるそうだな?」

「はい」

(皇帝からしても、俺が継いだ方が都合がいいのか?)


「それは助かる。帝国に二つしかない公爵家だ。次の代で無くす訳にはいかないからな。アレックスではやはり頼りないと心配していた」


皇帝はシリルを眺めた。視線に圧を感じる。見定めようとしているのか、単に面白いと感じているのか。どちらにしても居心地が悪い。


「‥‥‥陛下、お願いがあるのですが」 


少し唐突だが、早く用件を済ませたい。

心配事が一つ減ったのだから、シリルの小さな願い事くらい気分よく聞いてもらえるのではないか。



 





読んでいただきありがとうございます。


6/24 週間連載中ランキングで1位にランクイン致しました。読んでくださる皆様のおかけです。

目標の一つだったのでとても嬉しいです。ありがとうございます。 これからも精進しますので、よろしくお願い致します。

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祝!( ^-^)ノ∠※。6/24.週間連載中ランキング1位.:* 勿論♡気付きましたょ~♪(☆めっちゃ嬉しい☆) 完成された男の色気滴る?初心で一途で不器用な主人公を! (๑•̀ㅂ•́)و✧この可愛…
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