第18話・衝撃の展開
「ユリアさん……どうしてここに?」
「見ての通り、貴方たちと同じく買い物です。まぁ本当に会えるとは思っていませんでしたが」
近くまで歩いてきたユリアは、雄二を見上げた。
「どうやら、早速わたしが渡したクーポンを有効活用しているようですね」
視線を向けた先には、グラボを店員から受け取る天音の姿。
「PalitのRTX5070TIですか、堅実な選択ですね」
「はい、ちなみにユリアさんのPCのグラボは?」
「ZOTACゲーミング製のRTX5080です、購入した時は26万円でしたが、今だと32万しますね」
やっぱりレベルが違うなと、雄二は感心した。
そして、言いたかった事を話す。
「天音さんにクーポンをプレゼントしてくださったこと、プロデューサーとして改めてお礼申し上げます。おかでげ彼女の力がさらに発揮できます」
「礼には及びません、わたしも天音っちにはもっと強くなって欲しいですから。ところで――――」
2人を交互に見たユリアは、少し笑みを浮かべた。
「買い物までご一緒なんですね」
「まぁ……、これも仕事の一環なんで」
「ふーん」
「な、なんですか……」
嬉しそうに笑みを浮かべたユリアは、腕を組みながら返した。
「対戦も面白いですが、こっちもなかなか良いものですね」
「どういう意味ですか……」
「そのままですよ、天音っちのこと……どう思ってるんですか?」
雄二は脳内で瞬間的に回答をシミュレーション。
「プロデューサーです」、そう言うのは非常に簡単だったが。
「……まだわからないんです、なんだか天音さんを見ていると自分の理性が揺らぐ気がして。特別な存在に違いは無いんですが」
「簡単な話じゃないですか」
「えっ?」
面持ちを変えたユリアは、面食らう雄二に真実を突き付けた。
「赤井さんは、天音っちのことが異性として大好きなんじゃないですか?」
「そりゃ嫌いじゃないですが……、いくらなんでも飛躍しすぎでは?」
「まぁ今理解しろと言うのも酷な話です、ジックリ……向き合ってみたらどうですか?」
ここで、グラボを買った天音が帰ってくる。
「わっ、ユリじゃん! なんでここにいるの?」
「たまたま居合わせまして、クーポン……使ってくださったんですね」
「うん! これでもっと環境良くして、またユリに勝って見せるから!」
ユリアの内心に、込み上げる熱が舞い上がった。
やはり、このプレゼントは間違いではなかったと確信。
この少女はまだまだ伸びる。
そしてそれは、赤井雄二のプロデュースでさらに相乗効果を生むだろう。
日本に来て退屈だらけだったユリアにとって、今この瞬間こそ待ちわびた日本生活。
最高のライバル、そして最高の好敵手に巡り合えたのは僥倖だった。
そして、ユリアはここで本題に入る。
「1か月後に開かれる”ゼータ”の招待、天音さんにも届いたのでは?」
「えっ、なんでユリが知ってるの?」
「このわたしに勝ったのです、”あの方”が目を付けない訳がありません」
どうやら、ユリアはゼータの主催者を知っているようだった。
「あの大会は知っての通り二人一組のデュオマッチ、もう相方は決まったのですか?」
「ううん、実はまだ全然決めてなくて……」
そもそも報せを受け取ったのが昨日今日の出来事。
グラボを買った後は、組んでくれる相手を雄二は探そうとしていたが――――
「では、”わたし”とペアを組んでみませんか?」
ユリアの言葉に、雄二と天音は。
「「え……?」」
2人揃って、店内で間抜けな声を出した。




