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〜妹系底辺配信者の裏方プロデューサーを始めた俺、機材も企画も整えていたら彼女の一番近くにいる男になっていた〜  作者: たにどおり@漫画原作


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第12話・249秒のキルチェーン

 

【センター・トライデント】。


 その効果、250秒間全ステータスが1.5倍向上し、スキルクールダウン短縮。

 ただし、自らの位置がマップ内の全プレイヤーに常時表示され、隠れることは一切できない。

 なお、発動条件は生存プレイヤー数が60名以上の場合のみ。


【ネタ枠だろそれ!!】


【いや、大会では土壇場で使って勝つ例もある!】


【それは周囲に漁夫がいないのがわかってる場合だ!! 今みたいに囲まれてるような状態で使うもんじゃねーだろ!!】


 センター・トライデントの使用は、アナウンスとして全プレイヤーに通知される。


『AMANE3、センター・トライデント使用』


 動揺が広がる中、様々なプレイヤーが憶測交じりに動き出す。


「忖度狙いか? 悪いが潰させてもらう!」


「魅せプでもすんのかね、まぁ乗ってやるよ」


 天音の周囲にいた15人のプレイヤーが、一斉に突撃していく。

 通常ならどんなプレイングスキルを使っても、物量で押しつぶされる場面。

 だが雄二は、もちろん対抗策を練っていた。


『まるで人気者のスターですね、みんなが貴女を狙ってますよ』


 雄二の書きこみに、天音は不敵に笑った。


「正直くっそ怖えけど、けど……!」


 マウスを握り直した彼女は、マイクに向かって叫んだ。


「生きてるって実感する!!」


 作戦は既に決まっている。

 天音は滝の中へ駆け込み、プレイヤーたちが直後に追いつく。


「中に逃げたぞ!!」


「まだいるな!?」


「マップには映ってる、集中砲火だ!! その後に突撃!!」


 15人のプレイヤーが、滝へ向かって武器を撃ちまくった。

 その弾幕は通常のゲームプレイでは、決して拝めない派手極まるもの。


 ――――ダダダダダダッ――――!!!!!!!


 アサルトライフル、サブマシンガン、ライトマシンガン、グレネード。

 あらゆる火力が、天音を仕留めんと向けられた。


【お前ら容赦しろwwww】


【これは死んだろ】


【バカな真似したなぁ、目立ちたかったか?】


 滝の内側はトンネル。

 これだけ撃ち込めば、跳弾も必ず当たっているだろう。

 全員がマガジン内を空にすると、まず3人が滝へ近づく。


 それは、これだけの集中砲火を耐えられるわけがないという確信。

 だが、彼らはここで一度マップを確認すべきだった。


「敵!! 生きてるぞ!!」


「バカな!! あれだけ中に撃ち込んだのに!」


「だとしても絶対に瀕死だ! 突っ込め!!!」


 サブマシンガン担当が突っ込むが、その瞬間――――


「なっ……!!」


 目に入ったのは、設置型シールドを上限いっぱいまで置いた天音の姿。

 HPは半分以上削れているが、これで防いだのだと確信。

 すぐにトリガーを引こうとするが、


「そぉれ!!!」


 天音の合図と共に、滝の内側の洞窟――――その両サイドに仕掛けられていた地雷が起動。

 大勢の前で、3人のプレイヤーが爆散した。


「まだ生きてるぞ!!」


「倒せぇ!!!」


 残った12人が発砲を開始しようとするも、


「掛かったな」


 配信を見ていた雄二が笑う。

 直後に天音はスキルを使用し透明化。

 滝から飛び出して、一気に敵軍へ詰めて行った。


「はえぇ!!」


「しかもジグザグ移動しながら、切り返しと同時に透明化の解除を繰り返して……当たらねぇッ!!」


 アイテムの効果は、何も天音の位置を教えるだけではない。

 移動速度も含めた全てのステータスの向上と、スキルのクールダウン。

 特にこのスキル関連が、非常に凶悪だった。


「ごあぁ!!!」


「そっち行ったぞ!!」


「おい、こっちに銃口向けんじゃねえ!!」


 スキルゲージの消費量と回復量が、極めて近い状態へ。

 天音は細かい切り返しの瞬間に解除してゲージを回復し、相手のエイムをズラシ続けた。

 求められるは異常なまでのキャラコントロールと、動体視力。


 以前の天音なら、画面の残像感でまともに戦うこともできなかっただろう。

 これも、メインモニターを変えたからこそできるようになった、天音本来のプレイングスキル。


「あと8人!」


 アサルトライフルで至近距離から頭を撃ち抜くと、彼女はマガジン交換の時間すら惜しいとばかりに、相手のサブマシンガンを奪った。


「指何本あるんだよ!!!!」


「当たりはするが致命傷にならねぇ!! 狙ってやってるのか?」


 まるで、死神の鎌がプレイヤーの命を刈り取っているようだった。

 距離を取れば当たらず、詰めればダッシュとスライディング、透明化のコンボで瞬殺される。


「あと2人!!」


『効果時間終了まで、20秒』


 天音の声と、アナウンスが同時に響く。


「これ以上ユリっちの配信で醜態を晒せるかぁ!!」


「ッ!!」


 残った2人は、最終手段を行使。

 爆発系スキルを使用し、片方が自爆。

 天音ごと巻き込んで、周辺を吹っ飛ばした。


「これなら――――」


 通常ならチェックメイトだった。


「わたしも、ユリアさんに醜態なんて晒せないんだよね」


「んなッ!!?」


 天音は爆発に自ら突っ込んでいた。

 アイテムの効果は、当然対爆ステータスも上昇させる。

 それでも、乱数によっては即死もあり得た。


「賭けはわたしの勝ち」


「ッ……! っ、良い戦いだった」


 最後の1人を、地面に押し付けながらフルオートで射殺。

 シールド耐久値ゼロ、体力残数2%。

 同時に、


『アイテムの効果が終了しました』


 時間切れ。

 空井天音、『センター・トライデント』発動から249秒で……15名のプレイヤーを”鏖殺おうさつ”。


「生き……てる、なんとか……」


 数秒の放心の後、天音は急いで回復と装備集めに取り掛かった。


「ふぅ……ギリギリ勝てましたか。久しぶりに重い冷や汗が出た」


 ドッと息を吐く雄二。

 そう、最初からこうすることは決めていた。


 ユリアに勝つには、終盤の装備差をほんの僅かでも優位にしなければならなかった。

 そのためにはゴミ拾いじゃなく、強いプレイヤーから奪うのが最速。

 天音は当初不安気にしていたが、雄二はハッキリ言った。


「ノーリスクで勝てる相手じゃないんです。数多の博打を積み重ねてようやくこっちは勝負の土俵に乗れる、準プロとやり合うというのはそういうことです」


 結果は勝利。

 ユリアも同数近く倒しているが、ゲーム初期での話。

 少なくとも、シールドや武器のレベルは中盤の今――――天音が上回った。


「さっ、ユリアさん――――やろっか」


 崖上を見る天音。

 そこには、日本トップランカーの配信者……ユリアが立っていた。


「包囲下で15人を一蹴して、奪った装備の差で練度をカバーですか。本当に……貴女という人は」


 変形型の近接武器を取り出し、周囲に激しいスパークが走る。


「わたしを熱くさせてくれますね」


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