塩は偉大な発明
「この箱は緊急時に開けなさい」
博士はたどたどしい手つきで「箱」を棚の三段目にしまった
私が愛用している棚だ
この棚には博士との思い出がたくさん詰まっている
大半はくだらない思い出だけれども
どれも私の人格を形成を促した大事な思い出だ
私たちは壊滅した集落から何か使えそうなものはないかと探し回っていた
「このバールみたいなのいる?」
「私の筋力じゃ持てないよ」
誰が設定したのか知らないが私の物を持ち上げる力は弱い
重いものはだいたい研究員が運んでいたような気がする
おっ、よく見るとこれ「本」じゃないか?
焼け跡から「統制者ヴィノワと死霊兵団」というタイトルの「本」を見つけた
「おおっ!懐かしいなコレ!よく研究所で読んでた!」
「どんな話なの?」
「えー?いや、どうしようかなー私語りだしたら止まらないよー?」
「じゃあいいや」
いいのかよ!そこはもう少し押して来いよ!
「・・・・でこのヴィノワという死霊使いがイカしててどうイカしてるのかというと・・・」
はっ!!あっやべ!時間とんだ?!
どうやら私は「統制者ヴィノワと死霊兵団」の話で半日ほど話続けていたようだ
「ふぁ」
あくびをするロジュ、やべっ興味ない話ぽかったな
私は興味があることを話し始めると止まらないのだ
「そろそろご飯とりにいこうよ」
ロジュは準備体操をするかのように肩をぐるぐる回した
「肉がいい?魚がいい?」
「魚」
私は「肉」になる獲物をなんとなく避けたいがために「魚」を選んだ
どうせまた化け物のようにでかいに決まっている
今の私のメンタルは強い刺激はノーサンキューなのだ
私たちは再び川についた
「さあ出てこい魚!いるのは分かってるんだ!今日の昼めしだお前らは!」
私はめちゃくちゃ強気に出た
その気持ちにこたえるように三匹同時に巨大魚が現れた
「ちょっとロジュ?これ三体同時に相手に出来るの?」
私は恐る恐る聞いた
「私たちがお昼ご飯になっちゃうね」
!食べるのは好きだが食べられるのは嫌いだ!
「ポメ!これを川にたくさん撒いて!!」
ロジュは私に大きな袋を渡してきた。中に白い粉がたくさん入っている
えっ?そんな化学の実験みたいなこと現実でうまく出来んの?
私は半信半疑だったが白い粉を川に撒きまくった
「OKだよ!ポメ!」
ロジュが神経を集中させた、なんだかいつもより空気がひりついている
「お魚さん!!覚悟!!」
バーン!!という音が鳴り響いた
それはもう電撃というよりは爆発だった
あっこんな化学の実験みたいにうまくいくんだ・・・
巨大魚三匹は宙に浮き絶命していた
「あっこの魚塩味効いててうまいなー!」
私たちはさっきの巨大魚を焼いて食べていた
電撃の威力を上げる際に使用した塩は
魚の味付けにもなったようだ
今日はビックベアーから逃れた洞窟で暖をとった
私は「統制者ヴィノワと死霊兵団」を読みながら
いつの間にか寝ていた
あとあと集落を探してみたが
全四巻の「本」だったのだが
3巻だけどうしても見つからなくて
しばらくモヤモヤとした日々を過ごした




