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レクイエム

挿絵(By みてみん)







「博士、今日はポメのことでお話が」


かっちりと制服を着こんだ女の人が訪ねてきた


博士は「ちょっと席を外しなさい」と言った


退屈しないようにゲームを渡されたが


私はFPSは苦手だった


今思えばもっとFPSを練習しておけば


世界はこんなことにならなかったかもしれない






ビックベアーは咆哮とともに鋭い連撃を繰り出してきた


ギリギリ躱すロジュと私だが


攻撃の当たった民家などがめきめきとひしゃげていく


「おわー!!」


私は悲鳴を上げるだけ上げたが弱肉強食の掟の前には無意味ぽかった


「あの横穴に逃げよう!!」


ロジュが指をさした先には洞窟が見えた


ああ。私の足はなんて遅いんだ・・・


遅いながらもビックベアーと遭遇してから58秒程で難を逃れた


「ここならあの巨体では入ってこれないよ!」


案の定入口で体をつっかえさせているビックベアー




私はだいぶパニックに陥っていた


「大丈夫?ポメ!」


ロジュは私を心配そうに見つめた


「意識を回復させるため自己回復モードを発動します」


私の体からメカニカルな音声ガイダンスが流れた


「大好きな演歌を流します」


音声ガイダンスは続けた



春の川風 身にしみる夜は

ひとり歩けば 影も泣きます

言えぬ想いを 抱えたままで

あなた恋しと つぶやいた



忘れようとは してみたけれど

胸の奥では 名を呼んでいる

未練ごころが 足をとめれば

涙ひとすじ 頬をつたう



あぁ あなたと歩いた 名前もない橋

春の名残りが 袖を濡らして

戻れぬ恋を 抱いて生きれば

風も泣きます 女の道





「はっ!!ここは?!」


私の意識は大好きな演歌で蘇生した


「大丈夫?油さす?」


「いや、そういうのほんと大丈夫なんで」


「それよりもさっきの歌は?」


ロジュは目を輝かせて聞いてきた


「ああ、あれ演歌っていうんだ」


「えんか?」


「なんて説明すればいいんだろう、とにかく私の人生を何度も助けてくれた


 命の恩人のような曲だよ!」


また助けてもらったような気がするけども


「ビックベアーが諦めるまではここにいようよ」


「そうだな・・・あの巨体を倒す手段があるとは思えないし」


私はちらっとロジュのほうを見た


頼むー。『電撃モード』とかいうやつでなんとかしてくれー


私は無言の圧を出した


「?」


ロジュには通じなかったようだ


挿絵(By みてみん)


「だいぶ静かになったね」


「そうだな」









さりげなく集落は全滅していた


ビックベアーが去ったあと私たちは洞窟から出て


レクイエム代わりにさっきの演歌を流した






「頼むぞ!これで成仏してくれ集落の人々・・・!


 私を恨んで悪霊とかにならないでくれよ・・・!」


いや別に私たちのせいではないけどね?一応ね?





レクイエム代わりの演歌は


夕暮れの空にこだました






「悪霊退散!!」


ロジュが叫んだ


「いや?!勝手に悪霊にすんなよ?!」


よくみるとそこには温かい布団の切れ端が


何枚かあった













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