貨幣的価値
「マーク、その肉これと交換して!」
私はルミーの写真を提示した
「いいだろう」
「わーいいなー!上着脱いでるやつ!かわいい!」
私たちは最近ルミーの写真を通貨として使用していた
最初のうちはマークがルミーの写真を撮りまくっている姿を見て
ただの「オタ活」ぐらいにしか思っていなかったが
ある時を境に価値が一変した
村の市場で食料の交換をしてもらった際にマークは
ルミーの写真を提示したのだ
「一枚でいいのか?もう二三枚やろうか」
「一枚で十分です!まいどあり!!」
なんと通貨として機能したのだ
特に「嫌がっている表情」が大人気で私たちはことあるごとに
ルミーの嫌がることをした
そのたびにシャツターを切った
「あんたたち最近おかしくない?!!」
ルミーは不機嫌だった
「特におかしいのはそのカメラよ!!なんで写真撮るのよ!!」
「あっいまの表情いい感じ!!」
パシャッ!!
写真の価値はどんどんおかしな方向にエスカレートしていった
ある村は普通に通貨として機能しだした
「この村最近おかしくない?みんなルミーのことジロジロ見てくるんだけど」
「自意識過剰すぎだろ」
今の表情はあまり価値を感じないな
私はそう思いながらもシャッターをとりあえず切った
写真の神は気まぐれだ
奇跡の一枚がいつ取れてもおかしくない
私たちは憑りつかれたようにルミーの写真を撮った
「こっち!こっちにも写真頂戴!」
「私はこの缶詰と皮の服でお願い!」
マークの写真店は毎日大盛況だ
村には長蛇の列が出来た
「お前商売うまいな!」
「ふっ、まだ序の口だ」
商売は軌道に乗ったかに見えた
ルミーが調子に乗り出すまでは
「えっ?!こういう表情が人気なわけ?ウケル!!」
露骨に嫌そうな表情が人気の「ルミー写真」は
自信満々の表情が増えていった
「おかしい!売り上げが下がっている!!」
「おいおいマジかよ!」
私たちは焦った
確かに最近売り上げは右肩下がりだ
なんだ?!なにが原因なんだ!!
それに反比例して増えていく「自信満々ルミー写真」
写真の神は私たちを見放したのか?!
「お前のその表情イイな」
マークは私の写真を撮った
その日以来仲間たちは私に嫌がらせをしては
カメラのシャッターを切った
私の写真はあっという間に「ルミー写真」を上書きしていった
その村はわたしにとって最高に居づらい場所と化した




