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射手と狼少年  作者: ささがき
3日目
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第9.0話 【番外編】外の世界へ

 シンは落ち着かなげに自分のブーツの先を見つめていた。

 目の前には槍を持ち、剣を腰に佩いた兵士たち。

 街の中と外を繋ぐ門の下、検問所ではアロウが2頭の驢馬に載せた積荷の通行手続きをしている。

 兵士というと、シンにとっては追い払おうとしたり、何もしていないのにこちらを疑ってきたりと嫌なイメージしかない。ほとんど天敵だ。

 冒険者として装備を整えたシンは、いまや見習いや奉公で働く子供たちと遜色ない格好をしている。もう以前のような扱いをされないと頭ではわかってはいるものの、どことなく落ち着かない気持ちになってしまう。

 足先で地面をつつきながら、頭の中は兵士と話し込んでいるアロウがいつこちらを振り向くのかということでいっぱいになっていた。

 誰かを待つなんて、いったいいつぶりのことだろう。


 書類を見せたアロウに、顔見知りらしい兵士が形ばかり目を落として返した。

 そして、シンの方を見る。

「珍しいな、連れがいるとは。護衛任務か?」

「いや、仕事の連れだ。あれで役に立つんだぜ」

 アロウはにっと笑ってシンを示す。

 慌ててシンは背筋を正した。

 はったりだ。嘘ばっかり!

 内心冷や汗をかいたが、兵士はそうは思わなかったらしい。

「あんたが言うならそうなんだろうな。坊主、この兄ちゃんを頼むぞ。案外抜けてるからな!」

 がははと豪快に笑う兵士に「うるせー」と返しながらアロウは書類をしまい、荷の確認を受けた驢馬2頭を連れて小走りに戻ってきた。

 シンはほっとしてアロウに合流する。

「待たせたな。行こう!」

 アロウはシンの肩を叩くと、驢馬のたずなをひとつシンに手渡す。

 これを引くのが今回のシンの仕事だ。

 荷を満載した驢馬たちは、慣れているようで引かれるまま大人しくついてきた。

「良い旅を」

 兵士たちに見送られ、門をくぐる。

 暗い門の内側には、闇を切り取るように出口が明るく見えていた。

 シンは市壁の外のことは、塀の上から遠く望む景色でしか知らない。

 近づく光に否応なく胸が高鳴る。

 初めての外の世界が、目の前に近づいてきていた。

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