5 邪神の影響力
『黄衣の王。それは外宇宙の神の意思が形を持った存在、化身の事だとされている。そsれていると言うのは実際に見たものがいないからだ。彼の信者以外は。この化身は夢を通して信者の元に現れる。彼の目的は混沌以外はありはしない。』
六人の巡礼者達を通して目に言えない外なる神の意思、その存在が感じ取れる。
彼らの無言の祈りは人類の脆弱さを嘲笑う響きを含んでいた。
侮辱的な邪神の巡礼者達は周りを見ることも無く、自分の内側に潜り、外なる宇宙との邂逅を果たさんとする。
それらを遠目で眺めているとシノビの兄妹二人が気分を害する。
兄妹の兄、左近が若干の苛立ちを抑えながら口を開く。
「なるほど。今まで何故彼ら、巡礼者達が行く先々で害されるのか。その理由が分かりましたよ」
左近を始めとする神秘との関わりが深い者、又は、感受性の高い者は巡礼者達の神の悪意を感じ取り、巡礼者達に対して強い不快感と敵意を覚える。
恐らく、外なる神は己の信者を利用し、生け贄にし、彼らの痛みや死をもって己の影響をこの地上に降臨させているのだろう。
外なる神には慈しみや慈悲の念は存在しない。
あるのは己以外の存在を嘲笑う悪意だけだ。
俺はここから離れるように皆に言う。
「さぁ、もういいだろう。さっさとここを離れよう」
「それが良いね。普通の人間には少々、刺激が強過ぎる」
サンが俺に同意をする。
そして俺達はこの場を後にする。
取り敢えず俺達はKARAKURIに戻る事にした。
道中は皆、一言も発さずに黙々と歩き続けた。
今まで何処か楽観的な態度を見せていたシノビの兄妹も気持ちを完全に切り替えたようだった。
色々と思う所があるのか二人は難しい顔をしていたが、それを察したサンが二人に声をかける。
「お二人共、顔が険しいよ。大丈夫さ。俺も頑張るし、何よりヨエルが付いてる」
サンは軽やかな口調でそう告げ、俺の肩に手を回す。
俺はフッと笑うと軽く頷く。
そしてサン同様に二人を安心づける。
「そうだ。4人で力を合わせれば全て上手くいく筈だ」
俺とサンの言葉を聞いてシノビの兄妹の表情がほぐれる。
こういう時にサンの楽観的な性格は非常に助かる。良いムードメーカーだ。
そんな二人を励ましているとお店に着く。
着くやいなや左近と右京が口を開く。
「正直甘く見積もっていました、補佐官」
「私もです」
若いシノビの二人は今まで邪神と関わった事が無かったのだろう。
彼らの前ではいかなる最新の技術を搭載した武器でも意味をなさない。
彼らはどんな立派な甲冑でもすり抜け、人の心に直接働きかける。
特に左近みたいな野心溢れる若者は特に魅入られやすいだろう。
俺はこの任務が予想よりもずっと面倒で危ない事になるのを感じながらもなんとか平穏を装う。
「左近も右京もこれで分かっただろう。邪神とはどういうものか」
「ええ。これまでに厄介なものとは…」
「正直を言うとヨエルさん達が居なければ危なかったと思います」
左近は自分を戒め、右京は自分の兄をチラッと見ながらそう言う。
彼女も左近の先程の兄の内情の変化を感じ取れたのだろう。




