4 エルダーサイン
『カタナ。その歴史は古く、東の国でソードマン達に使われてい片刃の剣の事だ。それの伝統的な製造方は気が遠くなる様な鍛造だと聞く。その甲斐もあって見る者を魅了する見た目と切れ味を誇るという。現代では最新の技術や素材を活かした物が作られているがクラシックスタイルのファンは多いと聞く』
左近は壁に掛けられている一対の剣を取る。
それはサンが選んだ先程の高周波ブレードと比べると一回り小さい。
これもカタナに似たデザインをしているが、鍔が付いていなく、反りも控えめでほぼ真っ直ぐだった。
対になっている2振りの短剣を後ろ腰に強力なマグネットで装着する。
右京の方はナギナタと呼ばれる槍を同じくマグネットで背に、先程のアウトロー社の短機関銃をベルトを使い、腰にぶら下げ、その上を羽織で覆い隠していた。
皆が戦闘準備を欠かさずに行うが、俺としては戦闘にならない事を祈るばかりだ。
俺達は店を出る。
俺は左近に巡礼者達の現在の位置を尋ねる。
「報告では六人はサブストリートの広場にいるとの事です」
俺はそれを聞くと頷き、さっさとそちらに向かう。
あの広場はイベント事がない限りがそこまで賑やかな場所ではない。
散歩や人混みを避けたい人達が利用するぐらいだろう。
巡礼者達に危険が及ぶ可能性は低いだろう。
向かっている道中、サンが俺に最近の現状を聞く。
「最近はどうだい?ヨエル」
「この街の事だ。相変わらず変な事件が多発している」
「いや、兄弟の調子を聞いているんだ。元気にやれているかい?疲れてはいないかい?」
「気苦労は多いが、元気だ」
サンは俺の体調を気にかける。
俺はそれに対して心配はいらないと答える。
サンは続けて協会の様子を尋ねる。
俺はそれに答える。
「マザーがよく頑張ってくれている。しかし最近は歳を感じる事が多くなったのも事実だ」
「彼女なら大丈夫さ。主に祝福されているからね」
「ああ。その通りだ」
俺は今度はサンについて尋ねる事にした。
「ここ数年はどうしていた?何故連絡をよこさない?」
「世界のあちこちを巡っていた。神秘に困っているのはこの街だけじゃないのさ」
「一人で大変じゃないか?」
「我らの主のお陰で大勢の友人に恵まれた。まぁ、なんとかやってるさ」
俺はそれなら良いと答える。
彼の旅話はまた今度じっくり聞かして貰おう。
今は先ずは目先の問題の解決をしよう。
俺達は広場が見える位置までやってきた。
遠目から見ると異様な集団が輪になって何かの祈りを捧げている最中だ。
六人からなるその集団は全身を覆う黄色のローブを羽織っており、背中には異様に歪められた五芒星らしき紋章が描かれていた。
間違い、彼らが巡礼者達だ。
広場をゆく人々は彼らを避け、関わらないようにしていた。
彼らの正体は知らないが、関わらない事が良いと本能的に理解しているのだ。
俺達が遠目に眺めているとサンが一言ぼそりと呟く。
黄衣の王。
彼がそう呟くとその場に居た俺とシノビの兄弟の背筋を強力な寒気が襲う。
サンはそんな俺達に様子を見て、軽く微笑む。
「大丈夫だ。絶対に邪神の召喚を阻止しよう」
サンは希望を持たせるような言い方で俺達を元気づける。
しかし、俺は穏やかな心情ではいられなかった。




