2 兄弟
『七人ミサキ。それは昔から大陸が一つに繋がる以前に東の国にて噂されていた怪異、神秘の名だ。不思議な事にこの伝説は巡礼者達に通じる所がある。七人というのも一緒だ。厄介な所も共通点だ』
俺は早速と任務に取り掛かろうとすると左近が待ったをかける。
彼は今回の件でもう一人、助太刀を頼んでいるという。
左近は壁に掛けられたホログラムで投映された時間を確認する。
「そろそろこちらに着く頃ですかね」
「シノビの者は部外者とあまり関わらないのでは無かったのか?」
「彼は特別です。そう、補佐官と同じぐらいにね」
左近は意味深にそう告げる。
俺は意味を問おうかと思い、口を開くが、その時に店に誰がか入店してきた事を告げるチャイムが鳴る。
右京が行ってきますと言い、その人物を迎えに行く。
俺は店の奥の部屋に居ながらもその人物の気配、いや繋がりを感じ取れた。
「何故アイツを呼んだ?左近よ」
「もうバレましたか。流石ですね」
「茶化すな」
どんなに遠く離れていても途切れる事のない繋がりもある。
それが血の繋がりなら尚更だ。
右京と一緒に男が一人、奥の部屋に入ってくる。
男は俺と全く同じ背丈をしていた。
藍染のターバンと同じく藍色に染められた全身を覆う民族衣装を着ていた。
目元しか見えていないがそれは俺によく似ている。
しかし彼の方が優しく、陽気な雰囲気を醸し出していた。
彼の着用する衣装は砂漠の民が使っている物と一緒だ。
彼はそれをいたく気に入り、それらを着用している。
彼も砂漠出身なだけあってそれらに何か感じるものがあるのだろう。
この俺と同じく。
「やぁやぁ。久々だね、左近君!それに、兄弟よ」
男は俺によく似た声質で俺達に挨拶を交わす。
俺は彼に近付いて抱擁を交わす。
そして彼に会えたことに喜びを表す。
「元気に過ごしていたか?サン」
「勿論さ。我らが主のお陰様でね、ヨエル」
俺は兄弟に再び会えたことを主に感謝をする。
ここ数年は音沙汰無しだったからな。
最悪な事態ではあるが、サンが居てくれることは非常に心強く、自分の内から活力が湧いてくるのが感じ取れた。
サンは俺から身体を離し、笑いながら言う。
「相変わらず大袈裟だなぁ、ヨエル」
「そういう性質なんだ、しょうがないだろう」
「それでは苦労するよ?」
「そうだな、お前の気楽さを分けてほしいぐらいだ」
俺達の再会に右京は少しばかりの感動を覚え、左近はうんうんと頷き、温かく見守っていた。
左近は言う。
「やっぱり兄弟は良いですね」
それに対してサンは陽気に応える。
「そりゃあそうさ。血は水よりも濃いのさ」
「同意見です。サン」
「さて、感動の再会も果たした事だ!仕事をしようじゃないか、シノビ達よ」
サンが本題に戻るように促す。
左近は現時点で判明している情報をサンに説明する。
サンはそれを聞くと、分かったとだけ言う。
そしてこれからどうするか聞く。
「さぁ、どうしようか?巡礼者達に接触するのかい?」
「いや、下手な接触は避けたほうが良いだろう」
俺はサンにそう伝える。
彼らは不接触だ。
それに対してサンはつまらないなと言う。
「せっかくの再会なのに我が兄弟と共闘も出来ないか」
「戦いばかりが任務じゃない」
「いや、全ては戦いなのさ、ヨエル」
サンは好戦的な姿勢を見せる。
兄弟でもここの部部は真逆だ。
俺はそんな彼に伝える。
「剣を使わない戦いもある、見せてやろう兄弟」




