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51 アナスタシオ

『モーゼスという男は知略に満ちた男だ。少なくともその筈だ。しかし、彼は何故がそれを活かす事が少ない。彼が言うにはストロングスタイルという奴らしい。実力はあるから文句は言わないが、付き合う身にもなってほしいものだ』


俺達は薔薇を一人置いてビルの中に突入する。

正面の自動扉が開くとエコーはパイプを利用し煙をビル内に注ぎ込む。

目的はグールの探知と目眩ましだ。

フロア内は見事に血の海と化していた。

残念ながら人間の生存者はいないだろう。

煙はフロアにいた三人の人影を避けている。

グールだ。

それを見るとモーゼスは直ぐ様に少佐に声をかける。


「少佐!」

「はい!」


名を呼ばれた少佐は目に留まらない速さで銃を抜くと三人の人影の頭を撃ち抜く。

目にも留まらない速さだ。

人影達は直ぐ様、その場に倒れ込む。

モーゼスは周りを見回す。


「フロア、クリーン!上へ向かうぞ!」


時間を無駄にするまいと早速と上階へ続く階段を駆け登る。

作戦としては認めないが、迅速な制圧だ。

俺の考えを感じ取ったのか、モーゼスは横目で俺を見るが、俺は気にもとめない。

さっさと上階へ行こう。

今回はエコーが先陣を切る。

上階のフロアに突入するとまたもや至る所に血の痕跡と煙を避ける魔の者が二人。

エコーは素早くそれらの駆除に当たる。

奥にいた方の敵に黒い火球を放ちながら手前の敵の頭を掴み、光を注ぎ込む。

光を注ぎ込まれた者は直ぐ様倒れ込み、もう片方は炎に包まれて息絶える。


「ここのフロアもクリーンであります!」


エコーがそう叫ぶとモーゼスは応!と応じる。

中々に良い結果だ。

少しは作戦として認めてやっても良いかもしれないな。

そう思いながらも足を止めずに上は向かう。

敵を発見し、対処する。

これを何回が続けるとあっという間に最上階へ辿り着く。

さぁ、ここからが本番だ。


「イカれ野郎は屋上にいる!各々、気を引き締めろよ!」

「「了解!」」


モーゼスが突撃の合図を出すと俺達は勢い良く屋上へ躍り出る。

そこには黒いマントを羽織った老人がいた。

顔は生気がなく、蒼白しており、目は血走り、赤く染まっていた。

そして名刺代わりにマントには髑髏が描かれていた。

メメント・モリだ。

老人は俺達を見ると声を上げる。


「いらっしゃい。呼んだ覚えはないが、サプライズは大歓迎だ」

「おう、この街はお前を歓迎していねぇがな」

「寂しい事を言うてくれるな、戦場の犬よ」


老人は気さくな感じで俺達と対面をする。

そして自己紹介をする。


「アナスタシオ、君達風に言えばメメント・モリという奴だわな」

「ご丁寧にどうも、お前が待ち望んだ死だ。会いに来てやったぞ」


モーゼスは老人の自己紹介に辛辣に応える。

老人は少し口角を上げて嘲笑う。

そして軽々とそれに応える。


「それは素敵だ。しかし一人で逝くのは寂しい。君達も一緒に連れて行きたいが、どうじゃ?」

「お断りだ。ジジイが未練たらしくするなよ、見苦しいぞ」

「老人の頼み事を無下にするとはな」


老人は立っている召喚陣にしゃがみ込み、手をやると召喚陣が光り始め、グールが十体程召喚される。

無茶な召喚な代償か、老人の血走った目は遂には血の涙を流し始める。

そんな事もお構いなしに老人はグール達に命令を発する。


「さぁ、お前達。客人の相手をしてあげなさい。くれぐれも粗相のないようにな」

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