6 スープ
『誰も居ないはずの家から聞こえる笑い声。
そこに置いていたはずの物が突然消えたり、勝手に移動している経験はないだろうか?薄明かりの部屋からこちらを覗く視線は果たして気のせいだろうか?やめて欲しいならミルククッキーでもお供えして仲良くする事だな。君は決して一人じゃないからな』
「さぁヨエル!交渉しよー!」
「まず最初に今回の交渉は今回限りの一回に限る、分かったな?コボルト」
「わかったー」
神秘、特に妖精種との交渉は条件を明確にする必要がある。
よくあるミスなのがこういった終了条件を決めず妖精に報酬を払い、自分の中で勝手に終わらせる事だ。
その後も妖精達は働き続ける。
勿論その後の報酬は支払われないから彼らなりの
取り立てに合うわけだ。
「俺からの条件はまずこちらの洋館の探索の許可を貰いたい。」
「僕の家を荒らさなければいいよー」
「了解した。対価は供え物でいいか?」
「レッドキャップの掃除もね!」
ふむ、あの血溜まりの掃除か。
家住み妖精は綺麗好きだからな。
この件が終わり次第取り掛かろうか。
「後で人を寄越して掃除させよう」
「きれいにねー!血の一滴もゆるさないよー!」
「任せろ。もう一つ、後で探索の協力者が来る。その人を俺の所まで案内して貰いたい。」
「迷わずに届けるよー!」
「助かる。協力者には君への対価を持ってこさせよう」
コボルトは笑みを浮かべて二つ返事をする。
今の所は良い調子に交渉が進んでいるな。
子供の姿を取っているなら供え物としてはクッキーやミルクで良いと思うがそれも後で確認を取るとするか。
「最後に一つ、情報が欲しい」
「なにかなー?」
「原因を探している。ここに不審な人間達は来なかったか?」
「んー来たかな?」
「正確に言えば髑髏のマークを背中に着けてる連中だ。」
そういえば来ていたとコボルトは思い出してにこやかに微笑む。
この妖精はこの洋館の目であり耳である。
ここで起きてる事は全て掌握している筈だ。
「そんなのが三人ぐらいきたかなー?」
「もう帰ったのか?」
「その内の一人はこの洋館で迷子になってるよー!」
妖精の許可無しに入った結果だ。
その気ならそいつは永遠とこの洋館を彷徨う羽目になるだろうな。
まぁ自業自得ではあるがな。
「そいつの元に連れてってくれるか?」
「いいよー!ちゃんと連れてかえってね!」
「任せてくれ。しっかり対処をしよう」
取り敢えずこれで家主との問題は解決したと見ていいだろう。
後はさっさとあの狂信者を捕まえに向かおう。
「あ!情報の対価!」
「ああ、何を望む?」
「庭にねーいっぱい木とか花植えてほしい!」
「良いだろう。綺麗なのを揃えよう」
「ありがとー小人達やフェアリーちゃんが遊べるようにね!」
それでは交渉終了だ。
そういえば三人来てたと言っていたな。
報告の為に聞いておこうか。
「そういえば髑髏の彼らは三人来てたと言っていたな」
「うん!」
「残りの二人はどうした?」
コボルトはニコッと笑うと跨っている大きな白い犬の頭をポンポンと叩く。
犬が大きく口を開け何かを吐き出す。
それは人の骨だった。
コボルトは笑いながら続ける。
「スープにしたけどあまり美味しく無かったかもー!」




