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27 街を覆う煙

『圧倒的な才能はそこら辺の些細な問題を消し飛ばせれる。そしてその才能を持つのがエコーという人物だ。』


バーまで降りると既にエコーが準備を整えて俺達を待っていた。


「お帰りなさい!もう準備はバッチリです!」

「御苦労!仕事が速いな、お嬢ちゃん」

「狩りの準備は入念に、迅速に!ですよ!」

「いい心掛けだ」


狩りに関しては彼女は一家言をもっている。

これに関しては俺はなにも言う必要はない。

さて、作戦を詰めようか。


「さて、まずは場所を絞ろうか。少佐はなにか目処はあるか?」

「この街は広大ですからね。人のいる場所なら何処に紛れ込んでもおかしくはないです」

「ふむ。街全体となると骨が折れるな」


俺はモーゼスと少佐の作戦会議を傍観する。

俺よりも遥かにその道に長けているからだ。

少々強引な作戦ばかりではあるがな。


「お爺様!なにが問題でもあるのですか?」

「話を聞いてねぇのか?お嬢ちゃん」

「はい!聞いた上でお聞きしてるのです!」


エコーはなにが問題なのか分からない様子で尋ねる。

モーゼスと少佐は困った様子で彼女に再度、説明をする。


「だからな、街の何処に居ても不思議じゃないんだ」

「はい!」

「でもな、街全体はカバー出来ないという話だ」

「はい!出来ます!」

「は?」


街全体を網羅できるというエコーははっきり告げる。

モーゼスは意味を理解出来ないでいる。

少佐もなんとか彼女の言葉の意味を理解しようと頑張っている。


「エコーさんは煙を使って炙り出すとお聞きしています」

「はい!頑張ります!」

「その煙を街全体に吹かす事は出来ませんよね?」

「問題ないですね!」


少佐は彼女の宣言に言葉を無くす。

そういえば彼らはあまりエコーについては詳しくは知らないのだったな。

木霊の二つ名の意味を。


「⋯大佐。粒ぞろい、ですね」

「最近の若者はどうなってやがるんだ」


モーゼスと少佐は呆れた感じで言葉を交わす。

まぁ、無理もないだろう。

俺も彼女を知らなかったら同じような反応を示すだろう。

俺はそんな彼らに一言を申す。


「ハサンが彼女を高く買う理由。確かめてみると良い」


俺達はエコーを連れて再度、屋上に向かう。

屋上に付くと彼女は自前のパイプに煙草の葉をせっせと詰めだす。

作業しながらエコーは俺に向かってお願いをする。


「ヨエル、お祈りの補助をお願いしてもいいですか?」

「勿論。お安い御用だ。」

「助かります!流石は森の住民の友ですね!」


大掛かりな儀式は精神的な負担も大きい。

俺が少しでもその負荷を減らせるのなら喜んで手助けをしよう。

なにせ、俺は補佐官だからな。


「では始めますよ!」


彼女は儀式の始まりを宣言する。


『この煙草の葉は神々が地上にもたらしてくれた大いなるメディスン!

 弱き人間達の障害を取り除けるように神々が配慮なされたものである!

 今夜願うのはその神聖なる煙の力を持って目に見えない障害が取り除かれる事!』


俺が続けて祈りを上げる。


『我が主はそなたを選ばれた。

 他の誰でもないそなたに信頼を託したのだ。

 願わくばその信頼に応えれるだけの力と知恵と勇気を与え給え。

 私は存じております。

 あなたは慈悲深いお方。

 今一度、あなたの慈悲を彼女に降り注いでくだい』


俺はエコーの肩に手をかける。


「さぁ、聖なる煙をみせてくれ」


エコーは思い切りパイプを吸うと彼女の腹部が尋常じゃない程の膨らみを見せる。

一分程だろうか?

充分に煙を吸った彼女が今度はそれを勢いよく吹き出す。

余りの勢いに俺のコートがばたばたとはためく。

一体何処からそんな量の煙が出るのか疑問を持つほどの煙が街に向かい広がる。

あっという間に目に見える範囲は全て煙に覆われる。


「ゲホゲホ!喉に来ますね!」


彼女はいつものような笑顔でそう言うのだった。

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