24 子の問答
『こうして俺と黄衣の王の奇妙な話し合いが始まった訳だ。外宇宙の彼らは破壊と混沌の化身、会話なんかが出来るとは思っていなかった。ここで彼らの意思に触れ、確認出来れば良いのだが』
黄衣の王は俺に問う。
『お前の神はこの星、この世界をどうしたいのだ?』
俺はそう聞かれると暫く考え込む。
俺程度が主の代弁をしてもいいものだろうか?
俺は言葉を選びながら答える。
「全てはより善く、繁栄と進化の為だ」
俺はそう答える。
しかし黄衣の王はその答えに対して直ぐに疑問を問いかける。
『お前達の神がそう言ったのか?それともお前がそう認識しているだけか?』
「…主は多くを語らない」
『放任主義な神だな』
「生きる者達の自由意志を尊重なされているのだ」
黄衣の王は我が主のお考えに難を示す。
理解されるとは思ってはいなかったが、端から見れば彼の意見は道理が通っているとされるだろう。
反論をしたいが、主のお考えは言葉では到底表現出来るものではない。
『語らない神、試練の神、か』
「試練は人を成長させる」
『それは違いないな、ヨエル』
意外な事に黄衣の王は己の神とは異なる神の在り方に否定的では無かった。
『これは個人的な嫌がらせだ、ヨエル。神と呼ばれる連中達の事は良く知っている。この質問にお前が答えられない事もな』
「なら何故、質問をするのだ?黄衣の王よ」
『不思議な事を聞くな。逆に何故、質問をしない?何故、疑問を持たない?』
「主を疑えと言うのか?」
疑う事なかれ、試す事なかれ。
この考えは黄衣の王の考えとは相容れない様だ。
『盲目なまま、神に誘導をして貰うだけか。まるで白杖の如き存在だ。』
黄衣の王はハッキリと盲信的信仰だと言う。
俺は反論をしたい気持ちを抑え、今度は黄衣の王に質問をする。
「俺からも質問をさせてくれ。お前の神の意志とはなんだ?なにが目的だ?」
俺がそう尋ねると黄衣の王は両手を広げ、よく見ろと言う。
『私だ。私が神の意志だ。私の考える事、感じる事、為す事が全て我が神の意志だ』
「随分な自信だな。冒涜的じゃないか?」
『ほう?私は神の写し身だが、お前達は違うのか?』
黄衣の王は俺達の言葉を借りて反論をする。
随分と無秩序じみた信仰だ。
俺は更に問いかける。
「それでは成される悪や破壊も神の意志だと言うのか?」
『その悪とやらは誰から見ての悪だ?神か?お前か?この星か?』
「悪の肯定をするのか?」
『当時にその善とやらも肯定しよう。悪が無ければ善は無く。破壊無くして再生もない』
「二元論か」
まるで古代の東洋の考えを示す黄衣の王。
俺は一定の理解を示しながらも己の信仰を捨てなかった。
黄衣の王はふむと頷くとこの会話を終わらせようと言う。
『お前の考えは良く分かった』
「それでは終わりか?俺を殺すか?」
『それはヨエル次第だ。これ以上に長らえてお前は為したい何かがあるのか?それとも盲目的に生き延びたいだけか?』
黄衣の王は命題を投げかける。
俺はその質問を己の胸に投げかける。
神は、いや、俺はどうしたいのだ?




