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18 軍団

『ゴブリンナイトは持てる全てのエネルギーを利用し、妖精界から大勢の戦士を召喚した。しかし、その代償は重かった。彼の体内にあるエネルギー、人によっては気と呼んだり、マナと呼ばれるものを大量に消費した。』


ゴブリンナイトが残っている力をなんとか絞り出して剣を握る。

その立つ姿に力はなく、弱々しく見えていた。

それでもなお、自分の役目を果たさんとする。


「我が戦友達よ…敵は目前だ…力を貸してくれ…」


なんとか声を振り絞って妖精軍団に請う。

軍団はおおーと彼の声に答える。

しかし、そんな大軍の前でも化身は反応を一切見せない。

ゴブリンナイトは最初にして最期の指示をする。


「守れ…守れ!!戦うんだ!!」


その怒声が発せられると軍団が一斉に動き出す。

土煙を立ち上げながらまるで一つの生き物かのように化身に突撃する。

その場にはゴブリンナイト、唯一人だけ取り残されていた。

立つ力すら残っていないのか地面に倒れている。

俺は直ぐ様、彼の傍に行こうと駆け寄るが、サンに止められる。


「彼の犠牲を無駄にするな!!」


サンがそう怒鳴る。

分かっている。

分かってはいる、俺の理性もこの機を活かせと囁く。

しかし、心の方はどうだ?

この誇り高い騎士の最期を見届けたいのだ。

俺の葛藤をゴブリンナイトが汲んだのが、俺に微笑みかける。


「優しい男だ…貴殿は最初からそうだったな…躊躇うな…行くのだ…」


俺は拳を強く握るとそのまま振り返って化身の方に向かう。

きっといずれ再会出来るだろう。

だからお別れの言葉はいらない。

俺は自分にそう言い聞かせた。

サンは俺の肩を叩いて、行こうと言う。

俺達は二人で化身に向かって走り出す。

化身の元には大勢の妖精達が奮闘をしていた。

前線では馬に跨った頭のない騎士妖精、デュラハンが剣を利用して化身の触手を捌いていた。

中々の腕前ではあるが、次々に生えてくる触手の数々に押され気味だ。

触手の一本がデュラハンの剣に絡みつき、その剣を奪ってしまう。

そのまま、奪った剣を払うとデュラハンの馬の前足を切断し、落馬させてしまう。

倒れているデュラハンを触手が貫く。

デュラハンは声を上げる事もなく、絶命し、灰になって崩れる。

その間も絶え間なく軍団の猛攻撃は続くが、化身は全方位からの攻撃を次々といなす。

化身はこの地に降り立ってから未だに一歩もその場を動いていない。

ゴブリン達が吹き飛ばされ、フェアリー達が叩き落とされ、オークやドワーフ達の攻撃は触手によって化身本体まで届くことはなかった。

なんという強さだ。

ここでサンが高周波ブレードを携えて前線に躍り出る。

彼を追撃しようと触手達が襲いかかるが、大柄なオーク達により触手の攻撃は塞がれる。

サンは勢いの付いた突きの一撃を化身の胸元に突き刺す。

そのまま呪文を唱える。


「■■■」


高周波ブレードを伝ってその魔力が化身の体内に流される。

化身の体内に起こされた火は遂には外へ漏れ出す。

化身は燃やし尽くされ、灰になる。

しかし、サンはなにかに気付くと大きく後ろに飛び、警戒態勢のまま待機をする。


「何かがおかしい、手応えがまるでない」

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