14 騎士の矜持
『ゴブリンが上位種に進化を遂げた。上位種への進化、もしくは変化はそのものの性質を色濃く繁栄される。今回の場合はゴブリンの鍛錬や勉強などの日々の行いに加えて周囲から騎士として認知された事から成ったのだろう。これは俺達からすれば思いがけない幸運である』
暫くの間、喜びを分かち合った後、俺達はこれから来る戦いに備える。
ゴブリンナイトの実力の程は未だ謎に包まれているが、戦力が増した事は確かだろう。
このゴブリンはこれでもう足手まといとは呼べないだろう。
「うおぉぉ!敵はまだか!我輩の士気は既に充分に高まってるぞ!」
我らの隊長はウォークライを上げる。
それと同事に俺とサンの身体に力が漲り、疲れが吹っ飛ぶ。
これもゴブリンナイトの能力だろうか?
指揮官クラスのスキルまで使えるのか、大したものだ。
ウォークライのおかげなのかサンが興奮を隠そうともせずに言う。
「ハッハッハ!なんと心強いだろうか!」
「戦士サンよ!貴殿も滾るか!そうかそうか!」
「勿論さ!」
俺は呆れ顔で二人を見るが、自然と握る拳に力が入る。
影響力が俺の無意識にまで入り込むのを実感できる。
簡単にあしらえたあのゴブリンはもういないのだな。
「ギャギャ!サーは相変わらずクールだな!」
「そうでもない。俺は今確実に、昂っている」
「そうこなくっちゃ、兄弟!」
士気を確かめているとシノビの兄妹の影が見えてくる。
いよいよだ。
シノビの兄妹があっという間に俺達の所までたどり着く。
流石はシノビの者だ。
着くやいなや左近と右京が報告を済ませる。
「すまない!二人程連れてきてしまいました!」
「他の巡礼者がやってくるのも時間の問題かと!」
遠くを見ると二つの人影がこちらに向かってくるのが確認できる。
理想通りにはいかなかったが、二人程ならなんとかなるだろう。
シノビの兄妹は俺達をみるとゴブリンの異変に気がつく。
何かを言う前にゴブリンナイトが二人を労う。
「御苦労!よくぞ無事に戻ってきくれた!我が優秀な斥候達よ!」
二人は一瞬呆気に取られるが直ぐに気を取り直して俺達に問いかける。
「…大きくなっている?」
「言葉も流暢になっています!」
左近は先ず体格の変化に気付き、右京は内面的な変化に気付く。
この喜ばしい変化を共有してあげたいが、敵がもう目前に迫っている。
しかし、俺が何が言う前にゴブリンナイトが場を仕切る。
「詳細は後ほどしっかり語ってしんぜよう!今は敵に集中だ!」
ゴブリンナイトの言葉にシノビの兄妹は了解!と返事をして迫りくる敵に集中をする。
ゴブリンナイトの言葉一つ一つに力が宿る。
言霊というのだろう。
囮のつもりで召喚したが、立派な指揮官だ。
迫りくる巡礼者はゴブリンナイトを見ると黄色のローブから触手を出して襲いかかってくる。
ゴブリンナイトは微動だにせずに身の程ある大きな盾を召喚する。
触手は盾に当たり、弾かれる。
「もうごっご遊びではない!今こそ、騎士の矜持をとくとご覧にいれて差し上げよう!ギャギャ!」
大きな盾を俺達を守るその姿は紛れもなく騎士だった。




