フルエレとまぼろしの必殺拳!!
「そうなんだ、ハイアじゃ無いんですね」
雪布留は意外という顔をした。
「ハイアは我々シルクの不倶戴天の敵デース。ハイアがセブンリーファと結びつきがある様に、シルクは割と昔から東の地の神聖連邦帝国と付き合いがアッタンデスワ!」
「へぇ~~知らなかった!」
セブンリーファの大同盟の雪野フルエレ女王は天然ボケで他人事のように感心した。
「セブンリーファの人々の中にも、古代シルクの王家出身を自称しとる連中もおるんですけど、我々三国時代のシルクより前、ツンの始皇帝よりさらに昔の事ですから、ほぼウソやろ言われてるんデスワ」
フルエレには訳がわからない話だった……
「あらあら私は難しい話は苦手だねえ」
乳母は去って行く。
「ツンの始皇帝?」
「そう、ツンデレの力で域外の帝国を最初に統一したすごい皇帝ですわ、知らんけど」
「す、すごいツンデレの力で統一……」
「その後シルク地方は古代クラウディア王国とも付き合いがあったりして、ここの東の地に神聖連邦帝国が出来てから、クラウディア王国も吸収された時に、ついでにシルクとの交流も引き継いだっちゅうアンバイですわ」
「そっか、猫呼の国ってそんな昔からシルクと交流してたのねえ」
「猫呼サンって誰デス?」
「クラウディア王国王女なの」
バレエの先生は意外という顔をした。
「雪布留さん割とそんな情報も知ってるんですな~~意外デ~ス!」
「友達ですよ!!」
「その虚言癖は治した方が良いデ~ス」
先生は猫呼の様に肩をすぼめ、両手を広げた。
「ウソじゃないもん! 所で神聖連邦帝国ってどんな風に出来たの?」
フルエレは以前から気になっていた事を聞いた。
「それは良い質問ヤナ~凄い知識欲ヤデ~。ツンの始皇帝なんかよりは当然はるかに新しい訳ヤケド、荒涼回廊の国々なんかよりは割と古い時代に、セブンリーファからジギスムントゆう若者が数隻の船にのって東の地に移住して来て、古都に国を作ったのが始まりヤナ~」
フルエレは目を開いた。
「ジギスムントさん? えっでもセブンリーファから来たんだ!?」
「ソヤデー」
「じゃあ遠い昔に親戚だったかも知れない」
さらに遠い目をして遥か過去に想いを馳せたのであった!
「雪布留さん、私アナタの事がなにやら気に入ってしまいましたワっ」
ズズイッ
先生は雪布留の目を見つめた。
ビクッ
「な、何ですかっもしかして女性なのに女性に興味が!?」
フルエレは思わず身構えてしまう。
「ハハハ全然違いまーす、なにやら可愛い妹の様に思えて来ました。しかし貴方みたいなふわふわ系は身を守らないと心配デース!」
「よ、良く言われます!」
「デショ? ならばわたくしの真の姿をお見せせねば行くまい!!」
「ヒッ真の姿ですかっ?」
さらに雪布留は身構えた。
「ちょっち見ててみ?」
「はい」
先生は目を閉じると突然深呼吸を始めた。
「すぅ~~~~~」
ドキドキしながら先生を見つめる雪布留。
パチッ
急に先生が瞳を開いた直後であった。
「シャウッ!!」
ピキッ
先生の目の前にあったカップに光る一直線のスジが入ったかと思うと、そこからスッと切れてしまった。
コロン
斬れた上の部分がテーブルの上に転がる。
「す、凄い!? 紅茶のカップが二つに割れちゃったっっ!!」
「すごいっしょ? これが魔法アーニスいうまぼろしの必殺拳ナンデスワ。これを貴方にこっそり伝授したろう」
フルエレは両手を合わせ目を輝かせる。
「えええ、こんな凄いワザを私に?」
「ええ、でも多少の魔力が必要ですけど、持ってまっか?」
「魔力なら少しばかりはありますよ、でも魔法は使えないの……」
一転悲し気な顔になるフルエレ。
「ハハハ、この魔法アーニスに魔法の才能はいりまへんデ。ただ魔力を放出させるだけで無く、鎧のように身体にまとうのデス」
「魔力を鎧のようにまとう……」
「そして指先、爪の先一点に集中させて一気に突いたり斬ったりするんデスワ」
「魔力で突いたり斬ったりする……」
「へい、魔力の少ない婦女子でも強力な武器になるんねんで!」
「教えて下さい先生!」
フルエレは深く頭を下げた。
「よっしゃよっしゃ」
ガチャッ
乳母が戻って来た。
「あらあら二人とも何を話してたんだい……て、ぎゃあ!! カップが割れてるよっ」
「OH~~ぜんぶ雪布留さんの仕業デ~~ス」
「エーーーッ!?」
フルエレは背中がトゲトゲに飛び上がった。




