息抜き、雪乃フルエレ
ーそんなこんなで兎歩の助けも届かないまま、雪乃フルエレ女王は孤軍奮闘していたので御座います……
カチャッ
「ずずず」
ぺしっ!
スープを飲んでいたフルエレは乳母に思い切り叩かれる。
ぶしゅっ!
フルエレは思わず吹き出してしまう。
「雪布留さんなんなのそれは? そんな事で女王さま気取りなんてお笑いだよ!」
「ほ、本当に女王なんだからねっ!」
「はいはいそんなマナーの女王様はおりませんよひっひっひ」
「覚えてなさい」
そんな日の午後であった。突然貴城乃シューネが妖しい館にやって来た。
「いるか」
「まあまあお忙しい坊ちゃまがこんなスグ来るなんて、この雪布留さんの事が余程気になるんだねえ」
「そういう意味では無い、政治的に大切だからだ」
「そうなんですか~~ふふふ」
フルエレはジトっとした目になる。
「被害者の私の目の前で和まないで下さい。今日は何ですか?」
「ふふ雪布留、そなたはこの数日頑張っているようだな、ご褒美第一弾としてナノニルヴァの街に出してやろう」
ピキーン!
フルエレの目が輝いた。
「ほ、本当に? 敵からの施しは受けない主義だけど、正直言って嬉しいわ!!」
(くくく、こうも簡単に脱出の機会が!?)
「あらあら坊ちゃまここナノニルヴァの津では無くて、街に行くのですが?」
「そうだ。港町にはセブンリーファの事情を知る船員もたむろしている。万が一にも情報が漏れない様にな」
「何でも良いから早く連れてってよ! いえ、下さい」
フルエレは作戦としてしおらしく頭を下げた。
ペコリ
「ふふ良いだろう」
「妙な事考えるんじゃないよ」
ー二人はリムジン魔車で街へ移動した。
シュイーン
「わぁ見た事無いものばっかり~げげっあの輝く山の様な物は何!?」
「ふふ、前にも似た様な反応した者達がいたが、あれは我が国が誇るジグラト、歴代聖帝の巨大な墓だ」
シィ~ン
「墓?」
「そう、国民と聖帝の絆の証しとして建造された物だ」
「強制労働ハンターイ!」
フルエレは何でもケチを付けたかった。
「強制労働では無い、国民一人一人が手に手をとって石を積んで行った物だ」
「本当ですかねぇ?」
「本当だ」
等と言いつつナノニルヴァの一角に着いた。
「で、でかいわ、東の地の奥地の田舎のクセにデカイわねえ」
「そう思うのも無理あるまい。貴方達は全て域外の帝国を基準に方向を観ているからな。しかし我々神聖連邦帝国から見ればセブンリーファの方が田舎でしか無い」
むかっ
フルエレはすぐ切れた。
「小学生ですか? そんな事で対抗しないで下さい!!」
「いや、対抗している訳では無い。いずれセブンリーファから神聖連邦帝国が我々の中心になるのだ」
「……」(どゆこと?)
雪乃フルエレも姫乃ソラーレと同じく、貴城乃シューネの中の野望を見てしまった。
かつて砂緒が姫乃を連れ出した商店街までやって来た。
「よしここの繁華街で一時間の自由時間としよう。あらかじめ渡したお小遣いで買い物などすれば良い」
(マジデ!?)
「そ、そう、凄くおとなしくお買い物するわ!」
ふつうを装ってはいるが、フルエレの目は泳ぎ、異常興奮しているのが見て取れる。
「ふふ気を付けるのだぞ」
「はぁ~~い!」
ぴっ
フルエレは可愛く手を上げた。
ぴゅ~~~
シューネの姿が見えなくなるまで普通に歩いた途端、突然フルエレは思い切り走り出した。
「ダッシュよダッシュ、こんな簡単に帰れる機会が訪れるなんて……多幸焼き? あのおじさんに助けてもらうの!!」
ジュー
おじさんは謎の丸い食べ物を焼いていた。
「へいいらっしゃい、姫乃殿下も愛した多幸焼きだよ!!」
「はぁはぁ、あのですね、実はですね、これ絶対に誰にも言わないで下さいね、私は実はセブンリーファの女王さまなんです。魔ローダー乗り場知りませんか!?」
姫乃ですと言おうと思ったが、素顔を見ても何とも思わないおじさんには無駄だと思った。
「セブンリーファってドコだい。女王さまてそれは聖帝陛下より偉いのかい、それよか買ってくれるんだね?」
「え」
主人は本当に知らない様だった。
ガシッ
逃亡を開始して30秒で腕をつかまれ捕まる。
「キャーーッ人さらいよっ助けて!」
「私服交通警備兵だ、この子はこう見えてもツバメのお布留というスリでね。気を付けなさい」
「へい」
おじさんは警備兵手帳を見せられて目を丸くした。
ズリズリズリ
捕まった宇宙人の様に両腕を掴まれ、フルエレは連行された。




