表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1146/1151

淑女修行、バレエのレッスンさせられる……


「か、影武者って失礼な言い方だわ」

「しかしまあ、恐ろしい程に姫乃(ひめの)殿下に似ていらっしゃるわあ、むに~~」


 乳母は雪乃(ゆきの)フルエレの頬をおもちの様にひっぱって伸ばしてみる。


「いたたた、ひっぱらないでよ!? ちゃんとした本物の顔ですからねっ」


 パシッ

 フルエレは乳母の手を払った。


「あらあらまあまあ姫乃様と違ってお転婆な町娘さんだことホホホ」


 乳母は何だかフルエレを気に入った様に笑う。


「町娘じゃありませんっ、実はね、あのですね、これ絶対に誰にも言わないで下さいよ」


 いつもの様に冷や汗だらけの顔にしてフルエレは正体を明かそうとする。


「待てばあやよ、この子は不思議ちゃんでな。どんな嘘でも適当につくから相手にしてはいけない。それと雪布留(ゆきふる)殿よ、当然館の周囲には警備兵を配置してある。逃げようなどと思わぬ事だ。さすれば程度に合わせてボーナス的な褒美を与えましょうフフ」


 ぷくっ

 褒美という言葉にフルエレは激しく反発した。


「覚えてらっしゃい、絶対に砂緒(すなお)やセレネが助けに来てヒーヒー言わせてやるわ!」

「まあ怖い、お友達ですか?」

「いやこの子に友達は一人もいない」


 貴城乃(たかぎの)シューネの言葉に、フルエレは表情を失いピタッと止まった。


「そんな言い方しなくても良いじゃない……」


 心当たりがあるのか、フルエレは急に沈み込んだ。彼女の心の中に【海と山とに挟まれた小さき王国】での【国宝鏡】を見つめていた日々が蘇る。乳母はそんな雪布留の様子の違いに気付いた。

 パンパン

 突然先生の様に手を叩く。


「はいはい、坊ちゃま承知致しましたよ。雪布留お嬢さん今日からここが貴方の家ですからね」

「では私は仕事があるのでねフフ」


 最後まで不気味に笑いながらシューネは去って行った。



 ー数日後


「はい、アンドォートワ・アンドォートワ!」


 雪布留は金色の髪を後ろにまとめレオタードを着て、乳母に雇われた先生に従い鏡に囲まれた部屋でバレエのレッスンをしていた。


「いてて、何で淑女になるのにバレエが必要なんですか!?」

「おー雪布留さん文句を言ってはイケマセ~ン」


 先生は両手を広げた。

 パンパン

 突然手を打つ音が。


「先生、今日はもうこの辺でお願いします」


 乳母が止めると、金髪の先生は去って行った。



「何でバレエなんですか!? 何でこんな部屋があるんですか??」

「シューネ坊ちゃまの趣味で御座います」

「軽く変態じゃない……」


 雪布留は顔をしかめて横を向いた。


「変態ではありませんよ、貴方が育った下町とは違う世界に行くのですよ、耐えなさいな」


 ぷくー

 雪布留は頬を膨らませた。だがすぐに決心して乳母の顔に近付く。


「……これ絶対誰にも言わないで下さいよ、あのですねぇ、実は私はね、セブンリーファの女王様なんですよ」ボソ


 シィ~ン

 乳母は一瞬黙り込んでから、急に大声で笑い出した。


「あ~はっはっはっ、こりゃ面白いねえ、シューネ様が西の島の女王様をさらっておいでで? では七華(しちか)王女さまともお知り合いでしょうねえ」


 ドキーン!

 雪布留は心臓が止まりそうになる。


「七華を知ってるの??」

「は、はあまあ、どういうご関係でしょう」

「友達……いや、ライバル……下僕よ下僕!」


 また乳母の顔が歪む。


「不思議ちゃんじゃなくてホラ吹き女王ですこと! 貴方にはあまり余計な事を言わない方が良いわねえ」


 雪布留は今度は激怒して来る。


「むかあっ本当に知ってるの!」




 一方その頃、兎歩(うさぽ)の行方は……

 ピロピロピロ

 兎歩は姫乃(ひめの)ソラーレからの『雪乃フルエレに会って来い』という命令を受けはしたものの、何か心にひっかかる物があり、東の地に入った途端にあちこち放浪して寄り道していた。


「むお~ここが東の地のクラウディア王国ぽ? 我とあまり絡みの無い猫呼(ねここ)達の故郷かぽ~。そう言えば謎コーチNと猫呼もカラミが無いのはどういう事ぽ? それで一個話が出来るくらいなのにぽ~」


 もちろんこの独り言はメタ発言では無く、兎歩は現実の事象を物語に例えているだけである。


「うわ~ん」


 と、そんな時に兎歩は泣いている兎を見つけてしまう。


「あれは何ぽ?」


 兎歩は急降下した。

 ギュイーーンッ


「うわ~ん痛いよ~」

「何を泣いておる兎よ?」


 兎歩はえらそうに尋ねた。


「~カクカクシカジカでなんやかんやでサメに毛をむしられ痛くて泣いております、よよよ」

「なんと!? ならば全身を真水で洗いさらにガマの穂の上で寝転びゴロンゴロンしなさい、さすれば立ちどころに治るであろう」


 そうして兎歩は兎を治療してあげた。


「す、すごい、完全に治った!」

「我が兎語を解する魔法自動人形で良かったぽ」

「ありがとう御座います優しいウサギのお姉さんペコリ」


 兎は小さな頭を下げてお礼を言った。

 ぽっ

 何故か兎歩は急に頬を赤らめる。


「べ、別にアンタを助ける為にやったんじゃないからぽ!」

「?」


 可愛い兎は小首を傾げた。


 ーこの様に兎歩はあちこちで善行をなしていたので御座います。


「あ、あんな所にいじめられてるドジでノロマな亀ぽ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ