フルエレらしさとは?
ギロリッ
突然砂緒が化けているスナコが、可愛い顔に似合わない恐ろしい顔になった。
「もしや姫乃、あなた何かフルエレの行方とか知ってるんじゃないでしょうなァ? もし知っていて隠している様なら、たとえフルエレそっくりな貴方でもタダじゃおきませんよ?」
ギクッ
姫乃は内心あせった。
(もし……砂緒に雪乃フルエレ女王が貴城乃シューネにさらわれたなどと申せば、砂緒は激怒するだけでは無くて、魔ローダーで泳いででも走ってでも神聖連邦帝国に行くと言うハズです。だとすれば神聖連邦帝国は大混乱になり両国の関係はさらにこじれてしまうでしょう。そしてわたくしの単独のセブンリーファ行きも、四旗機の内の鳳凰騎と朱金剛が盗まれた事すらシューネの責任にされ、彼は失脚、そんな事にする訳には参りません)
「知っている訳無いでしょう」
姫乃は最大限無表情に前を見ながら答えた。
「ふっ貴方はどんくさいですからなあ、知らないのでしょうが」
姫乃からみても無表情のスナコの真意は測りかねた。だがもしかして砂緒は自分の事を疑っているのかも知れない、その想いは消える事は無かった。
ドヒューーーンッ!
直後、何者かの魔輪が二人のサイドカー魔輪を追い抜いて行く。
「ヒャッハーーッ! フルエレさん抜いてやったぜーーっ!!」
抜いたのはユティトレッド魔道王国王女のセレネであった。
「ああ、なんという交通違反でしょう」
「違いますよ、こういう時フルエレなら、もーっセレネ負けないわよ~とか言いながら追い掛けます」
「いや倫理的にダメだと思います」
「疑われますよ」
姫乃は口をへの字に曲げたが、仕方が無くフルスピードでセレネを追い掛けた。
ドヒュッ!!
ハリウッド映画の様に二台の魔輪は公道で追い掛け合いっこを繰り広げる。
「ふっ負けないわよセレネッ!」
「昨日の事忘れてないからなフルエレさんっ!」
セレネはまだまだ砂緒と依世と姫乃が同じ部屋で寝ていた事を怒っていた。だが当の姫乃がフルエレに化けている事までは全く知らない。二台がデッドヒートを繰り広げている時であった。
パーフォーパーフォー
突然けたたましい魔法サイレン音が鳴り、全員がビクッと背中を跳ね上げさせた。交通警備兵の高速パト魔ーであった。
「そこの学生さん、魔輪を止めなさい」
「法定速度違反ですよ」
「ひっ砂緒どうするのですか?」
「こういう時にはフルエレはびびりまくって即停止しますよ」
キキーーッ
姫乃が急停止した事でセレネも自動的に止まった。
「はい可愛い学生さん、学生証と購入証明書を見せて下さいな。高そうな魔輪ですね?」
セブンリーファにはまだ免許証という制度は無く、若者が高級品に乗っていると自動的に魔輪窃盗犯と見なされてしまう。
ごにょごにょ
即座に砂緒は姫乃に耳打ちした。
「アッ息が……えぇそんな事を!?」
「だからお前ら見てる前で耳打ちすんなって!」
「本当です本官の前で不審行動ですよ?」
セレネと交通警備兵に同時に突っ込まれてしまう。
「あ、あの……警備兵さん、わたし、あのですね、コレ絶対に誰にも言わないで下さいね、あのですね実はですね」
フルエレを演じる姫乃は顔いっぱいに冷や汗だらけにし、最大限テンパリまくって自分が同盟の女王である事を明かそうとしてしまう。
「はわわ止め止め、実は警備兵殿、このあたしは魔道王国女王のセレネ・ユティトレッドだ。交通警備の穴を見つける為にワザと暴走していた。警備ご苦労だな!」
ぱっ
セレネは女王を証明する特別な生徒手帳を見せた。
「ここここ、これは女王陛下!? ご無礼お許し下さい!」
「いや、抜き打ち検査をしたが完璧な警備だったよゴクロウ」
「ハッでは本官はこれで!」
キュキュッ
『本官さんご苦労さまです!』
スナコも敬礼して、パト魔―は去って行った。
「ふぅ安心した」
セレネは笑った。
「ええ、捕縛されなくて良かった」
「そうじゃない冷や汗だらけにしてテンパるのはいつものフルエレさんです、安心しました」
久々にセレネが笑った。
「ほら、上手くいったでしょ?」ごにょっ
「あっ息が……だから止めなさいって」
「お前ら……」
ドヒューッ
三人はそのまま魔道学園に急いだ。
そうして姫乃がフルエレの席に着いた時であった。
バンッ!!
突然その机を叩く音が。
「短期転校生として抗議する!」
K子達であった。




