ムンムン、二十ン歳の女子高生……
「おおっ兎幸ではないですか良い所に来ましたナァ。さっそく姫乃の髪を金色に染めて下さい」
ビクッ
砂緒の何でも無い言葉に一瞬怖がる兎幸を姫乃は見逃さなかった。
「待ちなさい、今のは完全にデートDVの兆候です、兎幸さん貴方ひどい暴力を受けてるんじゃないのです!?」
ビクッ
今度は姫乃の言葉にすら背中を跳ね上げる兎幸。
「こらこら、拙者がヤバイ人みたいに誤解されるからやめて下さい兎幸」
「そうじゃないよ、ボクの所為でフルエレが行方不明……それが申し訳無くて土下座したい気分なのぽ」
「こらこら、兎歩の口癖が伝染しとるやないかキミ」
ドキーンッ
兎歩の名前が出て、今度は姫乃がまたドキッとする。
「見逃しませんでしたぞ、今兎歩と言った時点で心拍数が上がりましたな?」
砂緒が姫乃ソラーレの胸にギリギリ触れる寸前くらいに指を指す。
「触らないで下さい。心拍数なんてわかるんですか?」
「分かる訳ないでしょう、適当に言いました。ただ顔がドキッとしたのは事実、姫乃貴方何か知ってるんじゃ無いでしょうなぁ? もしフルエレの事で隠し事があらば貴方でも絶対に許しませんよ?」
姫乃は必死に冷静に顔色を作った。
(雪乃フルエレさんはシューネに連れていかれた。もしかしてわたくしが抜けた穴をフルエレ女王で修正しようとしているのかも知れない。シューネは信用出来る男です……しばらくは彼を信じてみましょう)
「何も知りませんよ。兎歩さんの姿が見えないと思いましてね」
「そうですか? もし嘘なら胸に指を突きさしてぷにぷにぐりぐりしますからな」
「子供ですか?」
「アノ……ボク」
気付くと兎幸が立ち尽くしていた。
「こんな事してるバヤ〇ースではありません、遅刻しない様に早く金髪に染めないと。では姫乃、寝巻を脱いでシュミュ~ズ一枚になって下さい」
「わ、わかりましたシュミュ~ズ一枚ですね?」(シュミュ~ズって何ですか?)
プチプチ
姫乃は素直に砂緒の前でパジャマのボタンを外し始めた。
「そうです、では私も寝巻を脱いで全裸になりますから」
「そうですね、二人で裸になり……な、訳ありますかっっ!?」
どビシュッ
次の瞬間、鬼の様な形相の姫乃が砂緒の脳天にチョップした。
「いつからそんな一旦乗ってみるという方式を習得したのですか?」
その後、砂緒は追い出されて、姫乃はフルエレの洗面所で兎幸の超技術によって、マジカル染め粉で金髪に綺麗に染め上げられた。
「どうです?」
ふわっさぁ
窓から差し込む強烈な朝日の光で姫乃ソラーレの金髪は美しく激しく輝いた。
キラキラキラ……
思わず砂緒は眼を細める。
「うっ……フルエレ……一体どこへ行ったのでしょう」
さっきまで元気だった砂緒は、姫乃が雪乃フルエレそっくりになった事で逆に気落ちした。
「……砂緒……貴方もお化粧しないと登校できないのじゃないのです?」
砂緒は夜の街角で偶然出会った野良猫の様に目をハッと開いて固まった。
「フルエレの失踪で忘れておりました。兎幸、スナコちゃんメイクをお願いしますぞ。私も全裸になりますので、兎幸もいつもの様にマッパになって下さい」
「うん分かったプチプチ」
兎幸は何の疑問も持たずにテニスウェア的な宇宙服を脱ごうとする。
「やめなさい、何て事命令するの? 兎幸さんいつもこんな事を??」
「ううん、砂緒は本当は凄く優しいよ、全裸命令とかおっぱい揉ませて命令は過去の記録では各一回づつくらい」
「そうです、それからは命令しておりません、優しいでしょ?」
「命令してるじゃないですか!?」
急に暴力的になった姫乃にボコボコにされてからスナコちゃんは完成した。
ヒュルルルー
現実のバイクとは違い、無音に近いサイドカー魔輪の起動音が鳴った。
「これをわたくしが?」
「フルエレはそれか、魔法アシスト付き自転車で爆走かです」
「これに乗ります」
ジロリ
スナコは姫乃をやらしい邪悪な眼で見回した。
「しかしお色気ムンムンな女子高生ですなあ、ほぼ〇Vではないですか?」
「何ですかそれは」
ヒュルルーッ
姫乃が運転する魔輪はいつもの様にニナルティナの港湾都市を西に向かい、ユティトレッド王国の魔道学園に進んだ。
「こうしているとフルエレと初めて出会った頃を思い出しますよ」
姫乃は雪乃フルエレの行方を知っているのに言わない、その事に心が痛んだ。
「彼女は無事ですよ多分」




