X子を返せっ!!
「貴方達は……」
突然現れたK子達にいち女生徒・雪布留を演じる姫乃ソラーレは、いきなりドキリとしてしまう。
「あ、貴方は?」
ところがK子やF子達も、これまでの雪布留との余りの雰囲気の違いにドキリとして、お互いに見つめ合ってしまう。
どバシッッ!
『おうおうオラオラ、お前ら教室に不法侵入じゃコラ』
「ナニ他の生徒の間に潜んでやがった、不審人物のカドでつまみ出すぞコラぁ~」
K子が机に着いた腕を即はらいながらセレネとスナコが出て来た。
「な、なんつ~ガラの悪さだよ」
「貴方本当にユティトレッド魔道王国の女王様なのかよ」
K子もF子も内心ちょっとびびってしまう。
ぴょい
「貴方本当に姫乃に似てるの~~」
貴城乃シューネの親戚であり、姫乃とも何度も会った事のある貴濠乃ヌヌノノも小首を傾げた。彼女も雪布留、つまり雪乃フルエレ女王と以前に会ってはいるが、その中身が姫乃自身に変わってからは、やはり違和感を感じていた。
「そ、そう? 光栄よ」
等と言うのが精いっぱいであった。
「スナコ殿にセレネ女王陛下待って頂こう。今日来たのは何も雪布留さんが我らが姫乃殿下に似ているなどと言いに来た訳では無い。それよりも重要な事は我らの仲間であるX子が消えた事だ」
『おうおうそんなんお前らの不始末じゃろがい!』
「そうじゃそうじゃお門違いも甚だしいわ。自分らで解決しろや」
ほぼチン〇ラの様なスナコ・セレネ二人がさらに声を荒げた。
「待って頂こう、今の話は聞き捨てなりません。そもそもX子が行方不明になったきっかけは、そこなスナコ殿の交流試合に於ける不可解行動が原因ではないですか。あの【入れ替わり超奇術】以降、X子は人が変わった様になりながら走って行った。しかも仮面の下の顔は雪布留さんそっくりであった……これをどう説明される?」
スナコ達が無かった事にしたい事実を掘り返す謎コーチNであった。
「そ、それはだな、え~とあたしもどうゆう事か知りたいわ!」
『あれだ、それは吾輩がだな、人の顔を変えるス〇ンド使いでだな』
「つまりX子の顔をそのス〇ンド能力? とやらで改変したのですね……て犯罪じゃないかっ。X子はその混乱で失踪したとしか思えない、責任はスナコ殿にある今すぐX子を返して頂こう」
シィ~ン
スナコの適当な言い訳が余計に事態をややこしくした。
『はぁはぁ……えーっと、そうだ、X子の正体はサッワだろが、男子を女子高に潜入させた時点で猥褻物陳列罪じゃろがい!!』
スナコが必死に考えたいい訳である。
「なんでXがサッワだったら猥褻物陳列罪に当たるのだ?」
『え~と、X子はよく下半身露出してましたからなあ』
「いやしてるか!」
「嘘付け!!」
「いやしてるしてるあたしも見たし!!」
無暗にセレネも頷いた。
「この二人では話になりませんな。雪布留さん貴方の御意見はどうなのですか?」
謎コーチNは先程から黙り込む姫乃こと雪布留に切り込んだ。
ガタッ
すると突然立ち上がる姫乃に一同はドキリとする。
『ククク出ますよ雪布留の必殺拳が炸裂です!!』
「適当な事言うなよ」
ペコーリ
が、姫乃は即座に深々と頭を下げた。そのおじぎは不正発覚した悪徳企業の謝罪会見をなぞ、軽く越える潔さであった。その姿勢はまさに人類史に残る絵画の様な美しさであったと云う……
「あ、頭をお上げを……」
何故か抗議をしに来たNが真っ先に声を出してしまう。
「いえ、仲間を見失った皆さんの焦燥は並々ならぬ物がありましょう。わたくしも出来うる限りX子さんの行方は捜索してみようと思っております。どうぞ今は授業の前、何卒お許し下さい」
まさに目の前の姫乃こそX子の正体なのだから、彼女しかXの行方を知る者はいない。むしろ彼女の謝罪はフルエレを心配するスナコに向けた物であった。
「あ、頭下げられたってなあ」
「フンッそ、そうだよ!」
「X子は帰って来ないの~」
「いやK子君、この場は大人しく引き下がろう、元々サッワなぞどうなっても良いしな」
「おいおい」
「それ身も蓋も無いの~」
なぞと言いつつも転校生軍団は、渋々Nに引き連れられて行った。
「オウ、けえれけえれスナコ塩撒いときな! どしたスナコ?」
キュキュッ
『依世ーーーーーっ!』
セレネの声を無視すると、突然スナコはあらぬ方向にホワイトボードを向けた。




