最悪の朝帰り……
ー魔道学園駐輪場
少し時間が戻って姫乃ソラーレは困り果てていた。
「フルエレさんそろそろ帰りますよ」
姫乃は夜の街角で突然出会った野良猫の様に目をカッと開いた。
「え?」
「え? じゃ無いです帰りますよ」
「宿直室へ?」
「んな訳ないっしょ」
「お城とか?」
「ハァ?」
「冗談です部屋に帰るんですよね!」
ジトッ
セレネは姫乃をみた。
「早く髪を染めて下さい、フルエレさんに見えません」
「分かってるわよ」
「早く帰るにゃ~」
ポンポン
気付くと猫呼も乗ってシートを叩いていた。
「え、三人で」
「仕方無いでしょ、フルエレさんの魔輪盗まれたでしょ」
「交通警備兵に捕まりそうになったら、いつもみたいに権力で脅してもみ消して下さい」
「え」
「何やってんスか早く運転して」
「え?」
姫乃は冷や汗を流した。
ースナコ達の時間(夜)に戻る
シュタタッシュタタッ
巨大な白いフェンリルのフェレットは、背中に野人化依世とスナコを乗せ、ラ・マッロカンプ辺りの森の中を駆け巡った……
アオーーーーン
夜空に月が浮かぶ丘の上で遠吠えをするフェレット。
「こんなトコ探しててもいねーだろ。闇雲に探すんじゃ無くてフルエレちゃんが消えた辺りを探せば良いんじゃねえの?」
フェレットがようやく喋った。
くー
「ゴメン、寝てたむにゃ」
「お前寝んなごらあーー!」
スナコは依世に厚かましく抱き着きながら寝ていた。
「くー怒る良くないぞ、くー」
依世も寝ていた。
ガシッゴリッ
フェレットは器用にスナコの頭を死なない程度に噛み砕いだ。
「あんっやめて」
不気味に色っぽい声を出す砂緒。
「フルエレちゃんが消えたのはドコだよ?」
「港湾都市の倉庫……くー」
スナコは半目でなんとか答える。
「先に言えよ、徒労かよ」
もはやフェレットはデカの様になって献身的に探し始めた。
ー港湾都市倉庫街
フェンリルは眠る二人を乗せ、深夜に蛇輪の倉庫に到着した。
「へへっ俺は変態なんで前に会ったフルエレちゃんの匂いをしっかり覚えているぜクンクン」
フェレットは倉庫の内外を必死に探り続けた。
「うむ、何度匂いを嗅いでも蛇輪の乗り込み口で消えてるし、他に知らんヤツの匂いが混じってるなあ」
「くーー」
「むにゃ」
「いや聞けよお前ら」
フェレットの献身は徒労に終わった……
ーニナルティナ喫茶猫呼&ギルドビル
シュタッ
「う~む、ここまでは何とか来れたものの、どうやって入んだ?」
「むにゃ、VIP用EVで六階むにゃ」
「ウソっぽいなお前」
ガラガラ
レトロなEVのシャッターを鼻で開け、なんとか乗り込む。
チーン
六階に到着した。
「部屋分かんねーよ」
「一番奥、一番豪華そうな部屋がフルエレの部屋です……ペロペロ」
「な、舐めんなお前、むにゃ」
「お前ら後ろで何やってんだよ……」
フェレットは目を細めてから鼻でドアノックする。
トントン
ガチャッ
心配していた姫乃は一瞬でドアを開けた。
「キャッ!? モンスターがっ」
「良く言われるけどモンスターじゃね~よ、依世ちゃんの家来だからな」
姫乃がハッとする。
「依世さんがそこに?」
フェレットは眠る二人を見せた。
「とにかく入りなさい!?」
ドサッ
フェレットは急いで二人を部屋に入れるとベッドに投げ捨て、自分はフェレットモードに小さくなった。
キュキュッ
途端に言葉が話せなくなって姫乃は訳が分からなくなる。
「どうしましょう、二人が寝ていて訳が分かりません……こちらもセレネさんに尋問される様にいろいろ聞かれて困っているのに……」
くー
しかしフェンリルが置いたベッドで子供の様に寝る二人を見ていて、姫乃は笑顔になると、眠りこける二人にシーツを掛けてあげ、自分もソファーで眠ったのであった。もちろん依世とスナコの間にはフェレットがしっかりガードしている。
ピラリラリ~
ー次の日の朝
トントン
姫乃の事を疑いまくるセレネは超朝一番にフレエレの部屋に向かっていた。が、姫乃は何やかんやで疲れ切り、異様に規則正しい砂緒だけが起きていた。
ガチャッ
「何ですか騒々しいですねえ」
「おう砂緒か……て、ななな何でお前がいるんだよ」
トタタ
「おう砂緒、こいつ、ダレ?」
「も~~まだこんな早朝ですのに……」
直後、寝ぼけたままの依世と姫乃が砂緒の後ろから顔を出した。
シィ~~ン
セレネはしばし無言で思考が停止した。
(え、姉妹で? 三人で寝てたの??)
ハッッ
突然はっとする姫乃はしどろもどろになった。
「ちちちち、違うのですっ! 砂緒も依世ちゃんも朝まで激しい運動をしていて……」
姫乃は必死に首を振って弁明したが。
「朝まで激しい運動……」
シィ~ン




