05 SIDE ”彼女”
あの馬鹿娘の魔力が屋敷から感じられないのに気がついて急いでその力をおってきてみれば、めんどくさそうな情景がひろがっていた。小娘の暴走はなんとなく感じていたため騒動は覚悟していたがまさかエクソシストなんてもんを奴隷化してしまうとは思っていなかった。その元・エクソシストはおきれいな白の衣装を血で汚し気を失っている主君の頭をとても大事そうに膝に乗せていた。青春だねぇ。しっかしこんなめんどうな存在を奴隷にするなよ。ま、”俺”がそういったことを教えなかったのが悪かったとは思っているが、これでは計画がやりにくくなりそうだ。先手をうっておくか。
「ようぼっちゃん」
俺が声をかけると青年は振り向き膝の上においた主人を守るように強く抱きしめた。
「おいおい、そんなに威嚇すんじゃねぇよ。俺はそいつの主人だ危害なんてくわえねぇ」
そういうと俺の魔力を感じ安心したのか青年は力をぬいた。こいつ犬みてぇだな。うーんほんと主人に忠実そうなやつだ。最初の奴隷がエクソシストのわんちゃんねぇ。まったくこの小娘には驚かされてばかりだ。退屈はしないからいいけどな。
「で、その主人様の主人からの命令だ―――」
俺の命令を静かに聴きわんころは言った。
「マスターのためにですか?」
「……ああ、もちろんだ」
「了解いたしました」