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エピローグ1

数日後――。

西園寺邸。


一台の高級車がゆっくりと正門をくぐり、玄関前で停車する。

車から降りてきたのは、長旅を終えた麗華の両親だった。

玄関の扉が開き、麗華が満面の笑みで駆け寄る。


「お帰りなさいませ、お父様、お母様!」


母は優しく娘を抱きしめた。


「ただいま、麗華」


父も穏やかに頷く。


「元気にしていたか?」


「はい!」


麗華はいつものように胸を張って答える。

すると母が、ふと思い出したように首をかしげた。


「そういえば、反抗期はもう終わったの?」


「……え?」


麗華は目をぱちくりとさせる。

何のことか分からず、その場で固まってしまった。

少し離れた場所で控えていた黒崎は、その様子を見て思わず小さく吹き出した。


「ふふっ……」


「黒崎?」


「なんでもありません、お気になさらず」


父と母は顔を見合わせ、不思議そうに首をかしげる。

麗華は慌てて咳払いをした。


「こほん」


そして何事もなかったかのように微笑む。


「お父様、お母様。わたくし、これから少し黒崎と出かけてまいりますわ」


「こんな時間からか?」


午後5時を指し示す腕時計を見て、父が尋ねる。


「ええ」


麗華はにっこりと微笑んだ。

隣では黒崎が戸惑った表情を浮かべている。


「お嬢様……?」


麗華はそっと黒崎へ近づくと、誰にも聞こえないよう小声で耳打ちした。


「あなたのお誕生日プレゼント」


黒崎は目を丸くする。


「渡したいものがありますの」


その一言に、黒崎は少し照れくさそうに微笑んだ。

父はそんな二人を見て、小さく笑う。


「黒崎」


「はい」


「麗華を、9時までには帰宅させるよう頼む」


黒崎は姿勢を正し、深く一礼した。


「承知しました」


麗華は嬉しそうに黒崎の袖を軽く引く。


「さあ、参りましょう」


「……かしこまりました、お嬢様」


二人は並んで玄関を後にする。




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