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赤羽は黒猫をしっかりと抱きかかえると、不敵な笑みを浮かべた。


「……だったら、一度試してみましょうか♡」


そう呟いた次の瞬間、大堂へ向かって一気に駆け出す。


「ダメ!!!」


麗華が叫ぶ。

だが、その一瞬よりも早く動いた者がいた。

黒崎だった。


「させません」


鋭く踏み込み、迷いなく拳を振り抜く。


ドッ!!!


鈍い衝撃音が部屋に響く。

赤羽の身体は大きく吹き飛び、床を転がる。

そのまま動かなくなった。


「まったく……」


黒崎は素早く赤羽の腕から黒猫を抱き上げる。


「お嬢様!大堂!」


二人へ駆け寄ると、黒猫をそっと差し出した。


「今のうちです!」


麗華と大堂は顔を見合わせ、小さく頷く。

それぞれが黒猫へ手を添え、静かに抱き寄せた。

そして、ゆっくりと目を閉じる。

部屋が静まり返った。

次の瞬間――。


パンっ!!!


乾いた破裂音とともに、まばゆい光が室内を包み込んだ。

衝撃波が走り、二人の身体は反対方向へ弾き飛ばされる。


「お嬢様!」


黒崎はすぐさま駆け出した。

倒れている大堂のもとへ膝をつき、肩を抱き起こす。


「お嬢様!ご無事ですか!」

大堂はゆっくりと目を開け、苦笑する。


「……悪い」


低い声で答えた。


「俺は、お嬢様じゃねぇ」


「……!」


黒崎の表情が変わる。

目の前の人物は大堂。

その口調も、その見た目も、大堂そのものだった。


「ということは……」


黒崎は勢いよく振り返る。


少し離れた場所に、一人の少女が静かに横たわっていた。


「お嬢様!」


黒崎は駆け寄り、そっと身体を支える。

麗華はゆっくりと瞼を開く。

紫色の瞳が黒崎を映した。


「……黒崎」


その声を聞いた瞬間、黒崎の胸から張り詰めていたものが一気にほどける。

麗華は小さく微笑んだ。


「わたくしは……大丈夫ですわ」


その言葉に、黒崎は声を震わせる。


「……お帰りなさいませ、お嬢様」


麗華は優しく微笑み返した。


「ええ。ただいま、黒崎」


大堂と麗華。

ようやく二人は、本来あるべき姿へ戻ることができた。





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