表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/28

22

「頭がおかしいのは、お前だ。赤羽」


響く声とともに、部屋の入口へ一人の少女が姿を現した。

麗華の姿――しかし、その中身は大堂。

腕の中には、一匹の黒猫が静かに抱かれている。


「あなたは…!」


麗華が思わず声を上げる。

赤羽は少女の姿をじっと見つめた。


そして数秒後――。


「あははははっ!」


部屋中に笑い声を響かせる。


「なるほどねぇ♡」


腹を抱えながら肩を震わせる。


「そういうことだったのぉ?」


「……あ?」


大堂は眉をひそめる。

その時だった。

腕の中にいた黒猫が、するりと飛び降りる。


「ニャア」


黒猫は迷うことなく赤羽のもとへ駆け寄り、その足元へ身体を寄せた。

赤羽はしゃがみ込み、優しく黒猫を抱き上げる。


「もう、どこいってたのよ…ほんと勝手な子なんだから」


その表情からは、先ほどまでの狂気が少しだけ消えていた。


「その猫、あんたの飼い猫だろ?」


と大堂が猫を指差し言った。


「そうよ…この子はねぇ」


黒猫の頭を撫でながら、静かに語り始める。


「『曰く付きの猫』なんて呼ばれて、殺処分されそうになってた、可哀想な子なのよ」


麗華は息をのむ。


「その曰く付きの理由は誰も教えてくれなかったわ」


赤羽は黒猫を見つめ、小さく微笑む。


「ずっとわからなかったけど…」


ゆっくりと顔を上げる。


「でも今、ようやく分かったわぁ」


その言葉に、麗華ははっと目を見開いた。


「……あっ!」


全員の視線が麗華へ集まる。


「あの時ですわ!」


麗華は大堂に視線を移す。


「階段から落ちた時、わたくし……その子を抱いていました!」


大堂も静かに頷く。


「ああ。あんたとぶつかる前に見たからわかる。

!まさか…それで、俺たちの身体が入れ替わったってわけか?」


部屋に静寂が訪れる。

大堂は赤羽へ一歩近づいた。


「赤羽」


静かな声だった。


「俺達はもとの身体に戻らなきゃいけない…」


赤羽は黒猫を抱き直し、黙って大堂を見つめる。


「だから、その猫をこっちに渡してくれ」


大堂は真っ直ぐ赤羽の目を見据えた。


「……」


赤羽はしばらく何も言わなかった。

腕の中の黒猫は安心したように目を細め、小さく喉を鳴らしている。

赤羽は黒猫を優しく撫でながら、小さく笑った。

その笑みには、先ほどまでの狂気とは違う色が浮かんでいた。


「さて、どうしようかしらねぇ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ